しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

ゲーム依存について思うこと

お疲れさまです~

 

最近精神科界隈でちょこちょこ話題に上がるのがこれですね。『ゲーム依存』。

 

WHO(世界保健機関)が2018年に公表した新しい国際疾病分類ICD-11に、「ギャンブル障害」と並ぶ形で『ゲーム障害』が入りました。

 


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日本における適用の流れはいまいちわかりませんが、2、3年の内に実際に診断される人も出てくるのかな?

どっかの新聞の情報では2022年の1月から適用とかなんとか。

 

さて、その診断基準としては、

(1)ゲームをする時間や頻度を制御できない

(2)ゲームが他の関心事や行動に優先する

(3)問題が起きても続ける

(4)個人、家庭、学業、仕事などに重大な支障が出ている

 

以上の4つが12カ月以上続く場合、とのことです。

 

ただゲームが好きで、一日1、2時間する程度では診断されないようですね。

 

(2)のように、現実のその他多くの出来事(通学や仕事、家事、食事などかな)よりも、何よりも優先され、かつ(3)問題が起きても(遅刻や欠勤が多い、成績が下がる、体重が減る、健康を損ねる)やり続ける人のことですね。

 

こう聞くと、「そんなに多くの人が当てはまるかな?」という印象なのですが、WHOによると世界のゲーム人口約23億人のうち2~3%はゲーム依存に該当するだろうとのことです。

 

つまり460~690万人くらいですかね。

多い…

 

まぁ、実際に治療が必要な方もおられるとは思いますし、今後必要な視点だと思います。

 

(どうやって治療するのかは置いておいて…)

 

ただ、ぼくが懸念しているのは『ゲーム依存』という言葉だけがいたずらに流行ってしまうことです。

 

ゲームは現代において、特に若い世代にとっての趣味やコミュニーションのツールとして欠かせないものになっています。

 

しかし、ゲームを知らずに育ってきたある一定の世代にはやはり受け入れがたい、理解しがたいものであることも事実です。

 

その世代間のゲームに対する意識のギャップが世代間戦争のような状況を作っていて、この『ゲーム依存』という疾患により、その戦争にさらに拍車がかかる気がしています。

 

個人的な意見を言わせてもらえば、ゲームそのものは決して悪いものではありません。

 

ゲームや漫画などから得られた知識や疑似体験も多くあります。

 

包丁などの道具と同じだと思います。

使い方を間違えれば悪い方向に転がっていく。

 

なので、大事なことは、道具そのものを否定するのではなく、その上手な使い方を教えてあげることだと思います。

 

頭から否定されたら関係性も作れないし、そんな人の話を聴きたいとは絶対に思いません。

 

少し前に出会った不登校の男の子は、それこそゲームを朝から晩までずっとしていました。

 

おそらくゲーム依存という診断がつくレベルたと思います。

 

保護者の前では「俺は何も困っていない。ただ好きなゲームをしているだけ。誰にも迷惑はかけていない。」と言っていました。

 

2人になり色々と話を聴いていると、「学校に行けないし、勉強もできていないし、このままでは進学も厳しいかもしれない…できればゲームをする時間を少し減らしていきたい」という本心を持っていることを明かしてくれました。

 

ゲーム依存になる多くの人にとってゲームは大切なものです。

 

それを否定されると何も話したくなくなるのは当然だと思います。

 

まずは、「自分とは違うゲームに対する価値観を持っているんだな」という前提を理解し、否定しないところから始めて欲しいと思います。

 

また、他の依存症と同様に、辛い現実からの回避という側面もあるかもしれません。

 

詳しくは以前の依存症についての記事を読んでいただけたら(。_。*)

 

 

 

www.cpheco.xyz

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依存症は関わり方が難しい病気です。

 

勉強してかなきゃ。

 

終わり