解離がある人への対応
お疲れさまです~
最近講義を頼まれることが増えてきてしんどいです(笑)
人前に出るのは苦手…
でも、回数を重ねるごとに慣れてきている自分もいます。
苦手だからと諦めないで積極的にやっていきたいところですね。
さて、タイトルについてです。
対応、と言っても治療云々ではないです。
それ以前の話というかなんというか…
ぼくがお話しさせていただいている患者さんに『よく記憶がなくなる』方がいます。
精神医学的に『解離している』と言われる状態ですが、原因はいまいち明らかになっておらず、人によって様々とも言われています。
大雑把に言ったら大きな心理的負担、ストレスがかかると起こると言われてはいます。
わかりやすい例で言うと、3.11を体験した人が、3.11当日の記憶や心的体験がすっぽり記憶から抜け落ちている状態などです。
あるいは世間的に二重人格、多重人格と言われる状態も医学的には『解離性同一性障害』といって解離症状のひとつですね。
話がそれました。
そのぼくがよくお話させていただく患者さんは、明確なストレスはないのですが解離症状のような状態が頻繁に起こっています。
ただ、その方は起きる時間や寝る時間がバラバラ、常にベッドの上で生活している、といった状態だったのでどこからが解離なのか、はたまた眠っていただけなのか、何時から何時までは何をしていたのか、といったことがわからなくなっていました。
なので、解離そのものに対してのアプローチは難しいので、ひとまず置いておき、生活リズムを整えることから始めることをすすめました。
生活リズムが整うことにより、どこからどこまでが記憶の欠落なのかがはっきりします。
精神衛生的にも朝起きて日の光を浴び、夜おおむね同じ時間になるという生活の方がよいとされています。
ちなみに日の光を浴びるとメラトニンという睡眠に関わるホルモンの分泌がストップし、目が覚めると言われています。
また、メラトニンは起きて14~15時間後に分泌がはじまるため、6時に起きたら22~23時、7時に起きたら23~0時に眠くなります。
なので、起床時間を決まった時間に合わせるということは、睡眠時間も習慣化できるという事です。
同じ時間に寝ることを意識するよりも、同じ時間に起きることを意識するのがいいかもしれませんね。
注意点としては、メラトニンは日の光だけでなく、『明るい光』に反応して分泌が止まってしまうため、スマホのブルーライトなどにも反応してしまうことです。
寝る前のスマホはほどほどに、ってことですね(自戒を込めて)。
今回は解離性障害の方の例でしたが、生活リズムを整える、ということは基本的にどの人に対しても有効です。
リズムが乱れていると感じる人は意識してみてもいいかもしれません。
終わり
ゲーム依存について思うこと
お疲れさまです~
最近精神科界隈でちょこちょこ話題に上がるのがこれですね。『ゲーム依存』。
WHO(世界保健機関)が2018年に公表した新しい国際疾病分類ICD-11に、「ギャンブル障害」と並ぶ形で『ゲーム障害』が入りました。
日本における適用の流れはいまいちわかりませんが、2、3年の内に実際に診断される人も出てくるのかな?
どっかの新聞の情報では2022年の1月から適用とかなんとか。
さて、その診断基準としては、
(1)ゲームをする時間や頻度を制御できない
(2)ゲームが他の関心事や行動に優先する
(3)問題が起きても続ける
(4)個人、家庭、学業、仕事などに重大な支障が出ている
以上の4つが12カ月以上続く場合、とのことです。
ただゲームが好きで、一日1、2時間する程度では診断されないようですね。
(2)のように、現実のその他多くの出来事(通学や仕事、家事、食事などかな)よりも、何よりも優先され、かつ(3)問題が起きても(遅刻や欠勤が多い、成績が下がる、体重が減る、健康を損ねる)やり続ける人のことですね。
こう聞くと、「そんなに多くの人が当てはまるかな?」という印象なのですが、WHOによると世界のゲーム人口約23億人のうち2~3%はゲーム依存に該当するだろうとのことです。
つまり460~690万人くらいですかね。
多い…
まぁ、実際に治療が必要な方もおられるとは思いますし、今後必要な視点だと思います。
(どうやって治療するのかは置いておいて…)
ただ、ぼくが懸念しているのは『ゲーム依存』という言葉だけがいたずらに流行ってしまうことです。
ゲームは現代において、特に若い世代にとっての趣味やコミュニーションのツールとして欠かせないものになっています。
しかし、ゲームを知らずに育ってきたある一定の世代にはやはり受け入れがたい、理解しがたいものであることも事実です。
その世代間のゲームに対する意識のギャップが世代間戦争のような状況を作っていて、この『ゲーム依存』という疾患により、その戦争にさらに拍車がかかる気がしています。
個人的な意見を言わせてもらえば、ゲームそのものは決して悪いものではありません。
ゲームや漫画などから得られた知識や疑似体験も多くあります。
包丁などの道具と同じだと思います。
使い方を間違えれば悪い方向に転がっていく。
なので、大事なことは、道具そのものを否定するのではなく、その上手な使い方を教えてあげることだと思います。
頭から否定されたら関係性も作れないし、そんな人の話を聴きたいとは絶対に思いません。
少し前に出会った不登校の男の子は、それこそゲームを朝から晩までずっとしていました。
おそらくゲーム依存という診断がつくレベルたと思います。
保護者の前では「俺は何も困っていない。ただ好きなゲームをしているだけ。誰にも迷惑はかけていない。」と言っていました。
2人になり色々と話を聴いていると、「学校に行けないし、勉強もできていないし、このままでは進学も厳しいかもしれない…できればゲームをする時間を少し減らしていきたい」という本心を持っていることを明かしてくれました。
ゲーム依存になる多くの人にとってゲームは大切なものです。
それを否定されると何も話したくなくなるのは当然だと思います。
まずは、「自分とは違うゲームに対する価値観を持っているんだな」という前提を理解し、否定しないところから始めて欲しいと思います。
また、他の依存症と同様に、辛い現実からの回避という側面もあるかもしれません。
詳しくは以前の依存症についての記事を読んでいただけたら(。_。*)
依存症は関わり方が難しい病気です。
勉強してかなきゃ。
終わり
薬物依存症って?~治療編~
みなさん、お疲れさまです!
薬物依存症の記事の続きです。
これは下書きに残してたので(笑)
さて、前回は薬物依存症の基本についてお話ししました⇓
今回は、じゃあ実際どんな問題が起こってくるの?というところと、具体的にどう治療していったらいいの?という点についてお話します!
薬物依存症が生み出す問題
薬物依存症になると、大きく分けて以下の4つの問題が起こります。
健康の問題
まずは当然ですが、健康の問題ですよね。
不眠、食欲不振、めまい、頭痛などの身体的な障害のみならず、精神障害様の症状も起こりえます。
家族関係の問題
信頼性の失墜、経済的な問題、家庭内暴力などによる家族関係の崩壊が考えられます。
また、本人の健康のみならず、家族の心身の健康も損ね、心は疲弊していきます。
対人関係の問題
薬物乱用による性格の変容、具体的には忍耐力がなくなってしまうという特徴から他者との衝突が増えます。
結果として、知人友人が離れていき、コミュニティから孤立してしまいます。
反面、自分を唯一受け入れてくれるように感じられる薬物乱用仲間との歪なコミュニティを形成してしまいます。
社会生活上の問題
集中力、意欲、職務能力などの低下により、仕事や学業を怠けるようになっていき、最終的には失業、退学してしまいます。
それでも薬物をなんとかして得なければならないので、借金をしたり、犯罪に手を染めるようになってしまいます。
これらの諸問題は、程度の差こそあれ薬物依存症のプロセスの中で、誰しも経験することです。
また、大きな流れはあるものの、諸問題が同時的、複合的に起こることも少なくありません。
治療について
まず、前提として薬物依存は治りません。
一度薬物の快感を覚えてしまえば、それを依存する前の状態、つまり薬物を目の前に出されても『何も感じない』というのは実質不可能です。
しかし、薬物を止めつづけることで、信用や財産、健康などを取り戻すことはできます。
そういう意味で薬物依存は治らないが『回復できる』病気と言われます。
とはいえ、特効薬のようなものはありませんし、長い闘病生活となります。
また、それをひとりで行うのは非常に難しく、周りの人のたすけが必須となっています。
実際、ひとりで病院に通っていて治るというものではなく、依存症同士の回復のための自助グループなどに参加することが有効な手段と言われています。
基本編でも述べましたが、薬物依存は基本的に『孤立の病』です。
そしてその本質は、「快感を求める人たち」ではなく、「苦痛から逃れたい人たち」です。
つらい現実がある、目を背けたい苦痛がある、そういう人こそ依存症になるのです。
その本質を理解した上で、その苦痛に寄り添うことが、回復のための第一歩であり、最終形態だと思います。
日本のメディアの報道のあり方が『依存症者は快楽主義者で犯罪者』というものであり、非常に誤解を招きやすいものなっています。
その誤解は依存症患者をさらに回復から遠ざけるものになっています。
薬物依存はともかく、アルコール依存、タバコ依存一歩手前のような人は身近にもいるかもしれません。
正しい依存症についての知識が広まることを祈っています!
終わり
久しぶりの更新
お久しぶりです。
忙しくなるとブログを書く暇がなくなりますね…
4か月ぶりだからもう書き方忘れてしまった(笑)
放置しててもなぜか一日10pvくらいはあるもんなんですねぇ
臨床心理士の年収に関する記事に対するアクセスが一番多いので、臨床心理士や公認心理師を目指す人からのアクセスですかね。
収入、気になりますもんね…
さて、今後のブログの在り方についてです!
がっつり色々と書くよりも、日々の生活の中で感じたことをつぶやいていく超個人的ブログにシフトしていきたいと思いますー!
色々調べたり、丁寧に文章作ったり、ってしてると「あーまたやらなきゃな、しっかりしなきゃ」っていうイメージになっちゃって、なかなかパソコンに向かえなくなっちゃうことがわかったので(^_^;)
このブログは『しなやかなこころで、』ってタイトルですが、副題として『臨床心理士Hecoのひとりごと』としてあるので、これからは思うがままに色々つぶやいていこうと思います\(^o^)/
よかったらたまに遊びに来てあげてください~
薬物依存症って?~基本編~
みなさん、お疲れさまです!
最近暖かくなってきたと思って油断していましたが、今朝は道路がカチカチに凍っていました…まだまだ気は抜けないですね(^_^;)
さて、今日から何回かに分けて【薬物依存症】についてお話ししたいと思います。
薬物依存症と聞くと、みなさんはどんなイメージが浮かびますか?
おそらく、「だらしがない」「自己抑制が効かない」「ダメ人間」など、かなりネガティブなイメージだと思います。
また、【治療】という観点よりも、【処罰】という観点で語られがちだと思います。
依存症はれっきとした病気です。なので、正しく【治療】する必要があり、よい【治療】を受けることができれば、回復することができます。
ちなみに、【処罰】は治療的観点からするとほとんど効果がないようです。
何か月、何年と刑務所に入れておけば、依存が消えうせるというものではありません。
他の精神疾患同様、日本における依存症のイメージはやはり偏見や間違った知識が蔓延していると感じます。
なので、今回はできるだけわかりやすく依存症ってどんな病気なのかをご紹介したいと思います。
依存症は『こころの病気』
まず、冒頭でも述べましたが、依存症とは、何らかの原因で精神のバランスを崩した結果、なってしまう『こころの病気』です。
本来は誰もがかかりうるものです。ですが、『病気としての依存症』に関しては社会的認知の度合いが非常に低く、依存症によって起こったさまざまな問題は、病気という視点よりも、本人の倫理観の低さや意志の弱さが原因であると思われがちです。
この話は、アルコール依存が原因で引き起こされているDVや、違法薬物の所持使用など、それらそのものを許容、容認しようという事ではありません。
それらが依存症という病気から起こっているという見方をするならば、ただそれを非難したり、処罰すれば問題が解決するわけではない、ということが言いたいのです。
何かの習慣的な行動が、自分の生活や人生にダメージを与えているのに、意志の力ではそれがやめられない状態のこと
だそうです。
要するに、アルコール、薬物、ギャンブル、ゲーム、インターネットなどが自分にとって良くないものとわかっているのに、やめたくてもやめられない状態のことですね。
自分の意思に反しての行動に対して罰を与えて、『二度とするなよ』など言ったところで無意味です。それに対しての答えは当然「やめられるならやめているわ…」だと思います。
薬物依存を本当に減らしたいのであれば、薬物依存を正しく捉え、「どう対処したら薬物依存は減るのか」ということを合理的に考える必要があると思います。
身体依存と精神依存
依存には2つの種類があります。
ひとつが身体依存です。
身体依存とは、その薬物の摂取量が減少したり、摂取できなくなった時に、退薬症状(離脱症状、禁断症状)を呈する状態のことです。
薬物の種類、あるいはその個人によって症状は様々で、けいれん、眩暈、頭痛、しびれ、食欲不振、落ち着かなくなる、イライラする、不安、集中力の低下などが例として挙げられます。
薬物依存症において重大なのは精神依存です。
精神依存は、薬物を摂取したいという強い欲求(渇望)と同時に、その薬物を手に入れるための薬物探索行動を誘発する状態です。
タバコに含まれるニコチンには身体依存性はほとんどないにもかかわらず、喫煙者はタバコが切れるとそわそわし、吸いたいという強い欲求とともに、買いに行ったり、近くにいる人に譲ってもらったりします。これは、精神依存の状態と言えます。
精神依存の実態を表した言葉に「脳がハイジャックされた状態」というものがあります。
これは、薬物を自分がコントロールしているつもりが、実は逆に薬物にコントロールされてしまっている状態を表した言葉です。
例えば、薬物を一か月頑張ってやめていた人が、なにかのきっかけ(疲労感、飲酒、テレビで薬物のことが流れたなど)で、「これだけ我慢したんだからもう一回くらい」「これが本当に最後」「たまにならいいよね」など、薬物使用を合理化する思考になってしまうことを指します。
このような思考が一度生まれてしまうと、薬物への衝動を抑えることができなくなり、結局使ってしまうのです。
孤立の病
薬物依存症は「抑制ができないから」「快楽に負ける人」「ダメな人間」というような認識ではなく、『病気』なんだと述べてきました。
では、どんな病気なのでしょうか。
有名なのがこの孤立の病です。
社会的に居場所がないと感じていた人、劣等感が強い人、緊張感や不安感が強く、上手く人づきあいが出来なかった人が、薬物を使うことよって、人とのつながりが得られ、社会における関係性を獲得できるというメリットがその人を薬物乱用、依存に引き込むのです。
例えば、学校での勉強について行けなくなり、同級生と何を話していいかわからなくなり、不登校気味になり、かつ家には常に誰もいないという状況において、少し年上のかっこいいお兄さんに薬物を勧められたら、断れるでしょうか。
『薬物はいけない』とどこかで聞いたことはあっても、それを使用することで、その人たちからは認められ、仲間扱いされるだろうという期待・魅力には勝てないでしょう。
現実の社会生活に孤独感を感じている人ほど依存症になりやすいという意味で、孤立の病と呼ばれているのです。
このことに関して、国立精神・神経医療研究センターの薬物依存研究部部長の松本俊彦先生は、
孤立している人が、人とのつながりを求めた結果、かえって孤立を深めてしまうという、実に皮肉な病気
と述べています。
他にも嘘つきにする病気、忘れやすい病気、家族の病気など色々な呼ばれ方をされていますが、長くなるので割愛します。興味のある方は調べてみてください。
次回は実際にどんな問題が起こるのかということと、治療について書きたいと思います!
メンタルヘルス・マネジメント検定勉強ログ⑦
みなさん、お疲れさまです!
最近勉強する気がほとんど湧かなくなってしまいました~
まぁ、これまでも上がったり下がったりはあったので、気楽にいきます(^^)
今日は久しぶりにやる気になったので、メンタルヘルス・マネジメント検定の勉強を終わらせてしまおうかと思います!
前回のログはこちらです⇓
31.うつ病の治療方法
〇休養をとる
→管理監督者は休養の妨げになる不安を取り除く必要がある
①他の人の迷惑になる、②罪悪感、③自分の居場所がなくなるなど
〇薬物療法
→効果が出るまで時間が必要という認識。再発防止のため、状態が良くなっても長期の継続が必要
・薬の種類…抗うつ薬(三環系、四環系、SSRI、SNRI、スルピリド)、抗不安薬、睡眠剤、抗精神病薬、気分安定剤など
〇心理療法など
→休養や薬物療法で落ち着いてから実施する
考え方や受け止め方の歪みを修正していく治療法
→歪みの種類としては①全か無か思考、②破局的なものの見方、③過度の一般化、④ポジティブな面の否認、⑤「〇〇すべき」という思考など
〇リワーク・プログラム
→職場復帰を目的とした、認知行動療法、作業療法、リハビリテーションなどを、医療機関でプログラムとして構築しているもの
32.職場復帰支援の基本
・精神的な病気で休業する従業員の不安を理解する
…「本当に治るのか」「リストラ対象にならないか」「職場復帰できるのか」「居場所がなくならないか」など
・精神疾患の場合、完全回復して職場復帰するというケースは少ない
→復帰後の職場でのケアがとても重要になる
・職場復帰のための整備をする
→職場復帰支援に関するプログラムやルールの策定など
33.職場復帰支援の流れ
- 病気休業開始および休業中のケア
- 主治医による職場復帰可能の判断
- 職場復帰可否の判断および職場復帰支援プランの作成
- 最終的な職場復帰の決定
- 職場復帰
- 職場復帰後のフォローアップ
1.病気休業開始および休業中のケア
・人事労務スタッフだけでなく、事業場内産業保健スタッフにも連絡する。すでにフォローされているケースもある
・安心して療養に専念できるように働きかける。「連絡のし過ぎ」や「しなさ過ぎ」は適切なかかわり方ではない
・傷病手当金制度など、必要な情報をアナウンスする
・辞職や辞退などの申し出があった場合は、健康状態が回復してから判断すればいいとアドバイスする
2.主治医による職場復帰可能の判断
・従業員から職場復帰の希望を伝えられた管理監督者は、主治医の診断書(復職診断書)を提出するように伝える
・診断書には就業上の配慮事項を記載するようアドバイスをする
・診断書は、記載内容やプライバシーなどに十分な配慮をし、本人の同意を得て使用する
3.職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成
・診断書だけの判断は避ける
・職場環境や人間関係など総合的に判断する
・業務遂行能力の評価…ひとりで安全な通勤ができる、回復の程度、睡眠リズムの安定など
・職場復帰支援プランの作成
→回復の経過に合わせ、複数の段階を評定し、段階に応じて内容や期間を設定する。フォローアップについてもタイミングなどを明記しておく。再発の防止。
4.最終的な職場復帰の決定
・様々な情報、資料を基に企業のトップによる最終的な決定がなされる
6.職場復帰後のフォローアップ
・管理監督者の主な役割…①受診の様子の確認、②症状再燃の有無、③業務遂行能力や勤務状況の確認、④就業上の配慮の履行状況など
34.職場復帰支援における留意事項
〇プライバシーの保護
・個人情報は、原則として本人の同意を得たうえで扱う
・本人の同意を得る際は、本人の職場復帰にあたり不利な立場におかれないように配慮
・個人情報を扱う際は、復職サポートと、「事業者の安全配慮義務」の履行を目的としたものに限定する
〇心理的支援
・ゆっくりペースを上げていけばいいことを伝える
・いつでも相談に乗ると伝える
・適切な距離感とコミュニケーションをとっていく
35.まとめ
とりあえずこれにてメンタルヘルス・マネジメント検定の勉強を終わります!!
つかれた(笑)
合計7回にわたる勉強ログでした!
まとめていくうちに密度の濃い勉強になったと思います。
ついでに誰かの役に立ってたら幸いです(^^)
精神疾患が高校保健体育の教科書に載る件
みなさん、お疲れさまです。
最近ブログを書くのが少し億劫になってます(笑)
そんな時は無理しないのが、続けるコツだと勝手に思ってます(^O^)
さて、ぼくが購読させてもらってるブログで興味深い記事がアップされました。
なんと、2022年から精神疾患のことが教科書に載って、学校で教えられることになるそうです。
目的は、
- 知識の提供
- 偏見の改善
- 援助・受診行動の促進
だそうです。
精神疾患が教科書に載るのは、実に40年ぶりだとか。
てか、40年前は載ってたんですね…初耳。なんで消したんや…
授業時間数の減少に伴い、みたいなことが記事内に書いてあるけど、こういう偏見に繫がりそうなところを真っ先に削ってしまうのが日本という国なのかなぁ…
記事はこちらです。
このニュースについて、病院で患者さんに聞いてみたら、
「ようやくか~」
「待ってました」
「これで少しでも偏見がなくなればいいけど…」
「何年かしたら、病院にかかりやすくなるかもしれませんね。」
などポジティブよりな意見が多かったですが、中には
「却って偏見を助長する可能性もあるよね…」
「教育する側に正しい知識があればいいけど」
「今さらやったところで、日本の精神医療の遅れは取り戻せない」
などのネガティブな意見も見られました。
ぼく個人としては、知らないよりは知っている方がいいと思うので、この40年ぶりの復活を非常にポジティブに捉えています。
むしろ、これだけ精神疾患や発達障害と呼ばれる方が増えているのに、この40年間載せようとしていなかったことが驚きです。
『高校の保健体育』というところは賛否両論ありそうですが…
個人的にはイギリスみたいに中学2年くらいで教えてもいいような気はするけど…
ぼくの周りの精神疾患罹患者の方は、学校や会社など、コミュニティの中で偏見や差別を体験し、社会に出ることが怖くなってしまった方が大勢います。
むしろ、ほとんどすべての方が大なり小なりそういう体験をしているのが現状です。
そのようなつらい体験を少しでも減らすために、一般に正しい知識が広まればいいなぁと思います。
PTSD対策専門研修Part2~PTSD症状の鑑別と治療~
みなさん、お疲れさまです!
今日でブログ開設後、ちょうど3か月が経ちました。
この記事でちょうど40記事目になります。
ぼちぼちのペースで続けられてるかな、って感じです(^O^)
こんな弱小ブログの読者になって下さっている方もおられることに感謝多謝です。
いつもありがとうございます。
今後もできる限りわかりやすく、精神疾患のことや心理士のことを書いていけたらと思います!
さて、前回はPTSDの基本について書きました⇓
今回は、鑑別と治療についてです。
冒頭で「わかりやすく」とか言っておきながら、今回は少し専門性が高くなってしまうので、わからないところは飛ばしちゃってください(^_^;)
ただ、あまり詳しく書きすぎると、治療過程に影響が出る可能性もあると思うので、さらっと書きますよ~
症状の鑑別
PTSDの諸症状は、PTSDに由来するものと、そうでないものとの鑑別が難しい場合があります。
前回の記事でもご紹介した主症状3つの鑑別のポイントを、具体例をあげつつみていきたいと思います。
1.侵入症状(フラッシュバック)
⇒①記憶の中での対象に対する恐怖
≠全般性不安(不安対象への不安)、恐怖症(現実対象への不安)、妄想反応(妄想内容への恐怖)など
⇒②体験の情動記憶の再現であり、予期・コントロールができない
≠原因のある想起(Ex.「裁判の時に思い出してしんどくなる」「普段は忘れているが現場の近くを通ると苦しくなる」など)
2.回避・麻痺症状
⇒無意識のうちに、出来事と関連した刺激を避けたり、記憶や感情を切り離すこと(健忘や解離性同一障害、離人感など)
≠適応的な回避(Ex.「意識的に回避し、そのことで不都合が生じていない」「忘れるよう努力し、実際に忘れていられる(記憶のコントロール性)」など)
3.過覚醒症状
⇒交感神経系の持続的な過緊張、時にパニック発作
≠ストレス体験と無関係な症状(Ex.アルコールやカフェインの影響、恐怖症等に伴うパニック発作、事件前からの不安性障害など)
併存疾患
PTSDは、うつ病などその他の精神疾患を併存しやすいと言われています。
併存が見られやすい疾患は以下のとおりです。
〇うつ病
・罪責感(Survivor's guilt)…災害などで自分だけ生き残ってしまったことに対する罪悪感(Ex.「子どもも夫も死んでしまった」「あそこでああしていたら」「私だけ生き残ってもしょうがない」「一緒に死ねばよかった」)
・無力感や将来への希望の喪失
・活動意欲の低下、ひきこもり、自殺リスクなど
いろいろなことが気になって、自分ではどうしようもできないほどの不安に陥り、夜も眠れない。そんな不安や心配が班年以上も持続している状態。
〇恐怖症
特定のある一つのものに対して、心理学的、生理学的に異常な強い恐怖を感じてしまう状態。
〇妄想反応
誤った揺るぎない信念を示す反応。その信念が明らかに間違いであるという証明をしてもなかなか修正されることはない。
〇錯乱
思考や気持ちが混乱して取り乱す状態。
〇アルコール依存
回避行動として飲酒などを続けているうちに依存してしまうケース。
〇その他の疾患の顕在化
認知症、統合失調症、躁鬱病など、これまでは顕在化されてこなかった疾患が、ストレスやPTSDの症状によって顕在してしまうケース。
治療方法
基本的には現在現れている症状に対して薬物療法をしつつ、トラウマに対する心理療法を行っていくのがよいとされています。
心理療法としては、持続的エクスポージャー療法、EMDR、CPT、認知の再構成などが効果的とされていますが、エビデンス*1があると言われているのは持続的エクスポージャー療法です(諸説あります)。
持続的エクスポージャー療法
エクスポージャー療法とは行動療法のひとつで、暴露療法とも呼ばれます。
不安や苦痛を克服するため、患者が恐怖を抱いている物や状況に対して、少しずつ、あるいは突然に、直接的に、あるいは間接的に向き合うことを求める技法です。
そして、持続的エクスポージャー療法とは、トラウマに関連した、患者が恐れているもの、状況、記憶やイメージに、繰り返し安全に向き合うことで、病理的で適応的でない不安や認知を軽減するためにデザインされた技法です。
要するに、面接場面という安全な場所でトラウマと向き合うことによって、患者が恐れているような結果はもう起こらないということ、そのような恐れが非現実的であることを認識させる心理療法と言えます。
セッション回数は大体10回ほどです。
具体的に行うこととして、トラウマ歴の聞き取り、治療原理の説明、呼吸法の説明、PTSD症状についての心理教育、宿題の実施、現実エクスポージャー、想像エクスポージャーなどの手続きがあります。
この辺りを詳しく説明すると、もしどこかで治療を受ける際に影響してしまうかもしれないので、このくらいでさらっと終わっておきます(^_^;)
EMDR
Eye Movement Desensitization and Reprocessingの略で、訳すと『眼球運動による脱感作と再処理法』となります。
なんのこっちゃって感じですね(笑)
2013年にNHKで取り上げられ、広く知られるところとなりました⇓
ぼくは、正直詳しい治療機序はわかっていないのですが、治療者が指を左右に動かし、眼球運動を促すことで、脳内のトラウマ記憶が活性化され、少しずつ変化していくそうです。
治療中はトラウマ記憶を思い出すことになるわけですが、エクスポージャー療法と同様、『今現在いる場所は安全なんだよ』という感覚とトラウマ記憶を結びつけることで、トラウマ記憶が想起されても症状や不安が起こることがなくなっていく、ということだと思います。たぶん…・
日本EMDR学会が認定する、EMDRの専門家であることを示す資格もあるようです。
その資格を取るためには、
心理療法を行う専門家としての資格を持っており、最低2年間の臨床経験があること。また、認定EMDRトレーニングを修了しており、少なくとも50セッション以上のEMDR治療の経験があること。認定コンサルタントから20時間のコンサルテーションを受けていること。さらに、2年ごとに12時間以上の継続研修会への参加をしていること。
が必要だそうです…結構大変そう…
資格の申請費用は15000円。2年ごとの更新が必要だそうですが、その都度10000円…
詳しくは日本EMDR学会のHPをご覧ください⇓
*1:科学的根拠、証明
メンタルヘルス・マネジメント検定勉強ログ⑥
みなさん、お疲れさまです。
勉強、最近できていません…
モチベーション保つ方法知りたい(笑)
と言っていても始まらないので、ブログ書くついでに勉強していきますよー!
前回の勉強ログはこちらです⇓
26.心の不調の見えにくさ
・精神面の健康診断は法で義務付けられているわけでもないので、ほとんど行われていない
・メンタルヘルスの不調は、他人に知られたくないと思っている人が多い
・特に事業所には知られることに抵抗感を示す
〇疾病性…医学的に個人の疾病を判断すること
〇事例性…疾病を持った個人の社会適応の程度を判断すること
⇒メンタルヘルス不調において、疾病性と事例性が一致するとは限らない。つまり、疾病性が強くても、本人も周囲もあまり困っていない場合(事例性は低い)、管理監督者も強く受診を勧めることは難しいということ
27.不調が疑われた時の管理監督者の対応
①相談に乗る
⇒相談者に関心を向け、相談者を正しい方向に導く方法を探し、相談者の成長や気づきを促すこと
・留意点…中立性を保つ、自身の価値観などを押し付けない、興奮したり怒ったりしないなど
②最も安全で効果的・効率的な解決策を選択する
⇒具体的には、医療機関など問題解決に利用可能な資源・人材への橋渡し
※管理監督者のみで対応するのは危険
28.専門家との連携
連携先
1.事業場内産業保健スタッフ等…産業医、保健師、看護師、衛生管理者、人事労務管理スタッフ、心の健康づくり専門スタッフ(精神科医、臨床心理士など)
⇒管理監督者自身の手にあまると感じた場合相談。相談させることが困難な場合は、管理監督者が相談に行き、対応について助言を得る
⇒主治医に面会の予約を取った上で、本人同伴で話を聞きに行く
3.事業場外資源…保健所、精神保健センター、産業保健総合支援センター、地域窓口、メタルヘル対策支援センターなど
⇒事業場内に管理監督者が相談できる人材がいないのであれば、積極的に活用する。精神保健福祉センター以外の施設は、精神科医療の専門家がいない場合が多いため、事前に確認する
29.社内外資源とその役割
社内資源
①産業医…医療の専門家として企業に助言する立場
主治医と管理監督者が直接やり取りをする場合、守秘義務や知識量の差などの問題が発生するため、可能ならば産業医を通じて主治医と連携するのが望ましい
②保健師…保健指導や健康相談、健康教育、疾病予防など
③人事労務管理スタッフ…健康配慮義務を果たすための労務管理、人事管理
社外資源
①保健所…地域住民の精神保健の相談、訪問指導など
②労働安全衛生分野の公的機関
労働基準監督署、労働局、産業保健総合支援センター、地域窓口など
③メンタルヘルス対策の役割を担った公的機関
自殺総合対策センター、精神保健推進センター、勤労者メンタルヘルスセンター、地域障害者職業センターなど
④EAP機関…Employee Assistance Programの略で、従業員支援プログラムのこと
機能として
- 職業性ストレスの評価、コンサルテーション
- 従業員の心の健康問題に対する評価
- 医療機関や相談機関への紹介やフォロー
- 管理監督者や人事労務管理スタッフへの問題対処方法に対するコンサルテーション
- スタッフに対するメンタルヘルス教育
- 短期的カウンセリング
- 事業内メンタルヘルス担当者の育成
⑤民間相談機関など
いのちの電話、産業カウンセラー協会が実施している無料電話相談など
30.医療機関の種類と選び方
・心療内科
⇒主に身体の症状・疾患(心身症)
・精神科
⇒主に精神の症状・疾患(精神疾患)
〇選択のポイント
1.メンタルヘルス不調の状態や身体疾患などの医学的な問題が疑われるときは、症状に応じた診療科を勧める
2.メンタルヘルス不調の治療の場合は、2~3回の受診で終わるという事はほとんどないため、就業している状態でも通院を継続できる期間を選ぶ必要がある
3.身体症状に対して、内科や他の診療科を受診しても、異常が認められない場合は心療内科
4.不眠、気力や集中力の低下など精神的な症状が強い場合は精神科を選択
5.精神疾患は、症状が重くなる程、病識が薄くなる傾向にある
6.本人が受診しようとしない場合は家族に説明し、受診を勧めてもらう
〇診断の流れ
①別の病気でないことの確認
血液検査など検査、場合によっては他科受診など
②診断のための面接や診察
病歴や生育歴、生活歴、家族状況などの聴取、心理検査など
③診断後の説明
病気の説明、選択できる治療の方針と方法、心理教育、一般的な経過や見通しの説明など
PTSD対策専門研修Part1~PTSDの基本~
みなさんお疲れさまです。
先週は少し暖かかったのですが、今週末はかなり冷え込むみたいですね(^_^;)
家から出ない選択肢もありか…(笑)
さて、先月、国立精神・神経医療研究センターが主催している「PTSD対策専門研修」に行ってきましたので、復習がてらに記事を書きたいと思います!
東日本大震災以後、一般にもかなり知られるところとなったPTSDですが、言葉が一人歩きしてしまっている印象も受けます。
なので、今回はPTSDの基本を書いていきたいと思います!
まずは目次です。
PTSDとは
Post Traumatic Stress Disorder の略で、心的外傷後ストレス障害と訳されます。
強い恐怖感を伴う経験の記憶が、時間が経っても深い心の傷として残ってしまい、様々な症状となって現れてしまう障害のことです。
このような強い恐怖感を伴う経験による心の傷を『トラウマ』と呼びます。
トラウマになりやすい体験の例としては、事故や災害などで命の危険を感じたり、自分ではどうしようもない圧倒的な強い力に支配されたり(虐待や性暴力被害)といったことが挙げられます。
トラウマの定義
心理学的にはトラウマは本人の主観で判断されるとされていますが、PTSDは医学的な診断であり、その定義も医学に基づいたものが使用されます。
すなわち、
実際にまたは危うく死ぬ、または重傷を負うような出来事に暴露される、および/または性暴力被害に遭う
という定義です。
要するに、心理学とは違い、客観的に『死や重傷のリスクが実際にあったかどうか』『性暴力被害に遭ったかどうか』ということが重要ということですね。
PTSDの主な症状
では、PTSDは具体的にどのような症状を呈す障害なのでしょうか。
大きく3つに分けられます。
①侵入、フラッシュバック(再体験)
⇒苦痛な体験の記憶が、あたかも現実のようによみがえり、当時と同様の苦痛を感じること
注意したいのは、そのことを『考えてしまう』ということではなく、実体験として再び経験してしまっているという点です。
思考ではなく、経験です。そして、その再経験によって、恐ろしい記憶がさらに強化されてしまいます。悪夢も含みます。
ちなみに、このフラッシュバックという概念は覚せい剤乱用とPTSDのみで使われるそうです。
②過覚醒
⇒常に危険が続いているかのような張りつめた状態のことで、些細な物音などにも反応し、パニック状態になりやすくなります。
イメージとしては、心の外側に大きなバリアを張って過剰防衛している感じです。
具体的には、怒り、興奮、不注意、集中力の低下、入眠困難、驚きやすさ、などが該当します。
上記の症状が原因で対人関係にも困難が生じることも。
③回避・麻痺
⇒苦痛な体験が思い出させられることを避け、記憶を意識から切り離すしたり、感情が鈍化し、自分の感情がわからなくなったり、意思や意欲が減退してしまいます。
過覚醒と比べると、一見平静に見えるため、心的衝撃を受けていないかのように見えることもあります。
例えば、
「もう何も感じていない」
「大丈夫大丈夫、すっかり忘れたから」
「本当は元々大したことなかったの」
などは、本人も気づかずにトラウマを押し殺している発言である可能性もあります。
「え、そんなことあったっけ?」
と本気で忘れてしまっているケースもあります(解離性健忘)。
また、意識的な回避もあります。
例えば、交通事故の被害に遭った人が、事故現場に近寄らない、車に乗らない、などが一例になります。
上記のような症状は、あまりに強い心的衝撃を回避したり、感情を鈍らせることで精神状態を守ろうとする防衛反応とも言えます。
ASDについて
Acute Stress Disorderの略で、急性ストレス障害のことです。
PTSDはその原因となるストレスイベントが起きてから、1か月以上経ってから様々な症状が表れる障害ですが、ASDは1か月以内に種々の症状がある人につけられる診断です。
しかし、実際は1か月以内に医師の診断を受けるケースはそう多くないので、ほとんど使われることはないそうです。
余談ですが、PTSDを主訴として医療機関にかかる人はそう多くはありません。
本人もPTSDと気付いていないケースも多いですし、性暴力被害のケースでは、自身の体験を話したくないという人も当然多く、医療機関に繫がる人は1割程度というデータもあるそうです。
PTSDはうつ病や不安障害と併存していることが多いため、そちらでかかることが多いようですね。
根本にトラウマがあるのであれば、そちらに焦点を当てることが根治のために必要な場合もあるかもしれません。
メンタルヘルス・マネジメント検定勉強ログ⑤
お疲れさまです。
先週の土日は、珍しく2日とも外出しました、Hecoです。
週に1日は家でゆっくりごろごろしたいものですね~
さて、メンタルヘルスケア・マネジメント検定の勉強ログです。
前回のログはこちらです↓。主に職場環境の評価や改善方法についてまとめた記事ですね(^O^)
21.ストレス反応
〇ストレス反応の3段階
①警告反応期…ストレス要因が加えられた直後の時期
⇒ショック相を経て抵抗力が高まる抗ショック相に移行
②抵抗期…ストレス要因に対し活動性を高め、バランスを保っている状態
⇒ある程度の安定感がある、長期間にわたると適応エネルギーが欠乏する
③疲憊期…再び抵抗力が低下した状態、ストレス反応が現れる
〇ストレス反応の種類
①心理面の反応…明確な形で表れにくい
②身体面の反応…「具合の悪さ」として体感
③行動面の反応…仕事ぶりに影響が出ることが多い
22.ストレスへの対処
〇コーピング…ストレッサーを取り除いたり、ストレス反応の発生を抑える効果のある行動
・問題焦点型コーピング…ストレッサーを取り除く
・情動焦点型コーピング…怒りや不安などの情緒不安定を低減させる
〇コーピングスキルの指導
①関心がない段階
⇒適切なコーピングについての利点を伝える、練習機会を作る
②関心はあるが、実行しようとしない段階
⇒傾聴により、動機づけを高める、よい影響を理解させる、他者の例を伝える
③実際にはじめた段階
⇒実行をさらに強化、知識に誤りがあれば修正、環境調整
④継続的にストレス低減に努めている段階
⇒前の状態に戻らないように予防する
〇ソーシャルサポートの重要性
・ストレス低減や予防に効果的
・4つのサポート…情緒的サポート、情報的サポート、道具的サポート、評価的サポート
・むやみに与えても効果は薄い。個人の適性に合わせて適切なサポートを提供する
23.プライバシーへの配慮
・健康情報は個人情報の中でも特にデリケート
⇒慎重に取り扱う必要がある
・守秘義務について…事業場内外産業保健スタッフにもある。医師や看護師、保健師は罰則規定もある。罰則規定がない人も、民法により損害賠償責任を追及される場合もある
・個人情報保護法…2015年改正、2017年施行
⇒①個人情報取扱事業者の定義を定めた
②個人情報取扱事業者の義務を定めた(罰則付き)
③要配慮個人情報の規定
・医療、金融、情報通信の3分野は、特に高いレベルでの個人情報の保護が求められる
・非医療職の上司や同僚に健康情報を提供する際の注意点
⇒①本人の同意を得る(同意が得られない場合、必要最小限の情報を必要最小限の関係者に提供する)
②情報を加工する
③情報により本人に不利益が生じないようにする
24.管理監督者自身のメンタルヘルスケア
・自己も相手も大切にした自己表現(アサーション)をする
⇒気持ちや考えを率直に表現する、自分にも相手にもわかる事実を伝える、自分の要求や希望を具体的に表現する、非言語表現も活用するなど
・相談…上司や同僚、産業保健スタッフや事業場外資源など
25.コミュニケーション
・人間関係の悩みの大半はコミュニケーションがうまくいっていないこと
・コミュニケーションの3つの要素と阻害される要因
①送り手…的確に発信できていない
②媒体…コミュニケーションの機会が得られない
③受け手…正確に受信できていない
・コミュニケーションの2つの側面
①道具的コミュニケーション…スムーズな業務遂行なために用いる(「〇〇して」)
②自己充足的コミュニケーション…特に何か要求するわけではない、「話す」ことで満足(挨拶など)、人間関係の形成・維持向上・緊張解消などの効果がある
⇒コミュニケーションは必ずどちらかの側面を持っている
〇コミュニケーションスキル
・アサーティブな自己表現をする
・傾聴
・マイクロ技法の「基本的かかわり技法」
①かかわり行動(視線の位置・言語追跡・身体言語・声の質)
②質問技法(開かれた質問・閉ざされた質問)
③クライエント観察技法
④はげまし、いいかえ、要約
⑤感情の反映
メンタルヘルス・マネジメント検定勉強ログ④
お疲れさまです!
最近勉強の方をさぼりがちだったので、やっていきます(^_^;)
前回のログはこちらです↓。主に精神疾患の概要をさらっていくという内容でしたね。
15.心の健康問題をどうとらえるか
メンタルヘルス不調
・「誰でもなりうる疾患」
⇒個人の素質により、軽度のストレスで発症。素質が少なくても、強いストレス環境では誰でも起こる可能性がある。
・ライフスタイルの改善やストレス対処により防げる
・個人の問題ではなく、職場というシステムの問題として捉える視点が重要
・≠精神障害者
16.職場環境の評価方法
〇ストレス増加の背景
⇒組織の変化(事業の再構築・効率化・雇用調整・賃金低下)
⇒仕事の変化(複雑化・高度化)
⇒心身への負担が増加
〇職業性ストレスの原因となる職場環境
・仕事の要求度が能力よりも高い
・仕事のコントロール度が低い
・上司や同僚の支援が得られない
〇職業性ストレスの評価方法
①「職業性ストレス簡易調査票」を用いる
・ストレス反応だけでなく要因も評価できる
・あらゆる業種で使用でき、負担が少ない
・調査結果は、「仕事のストレス判定図」で全国平均と比較できる
②「新職業性ストレス簡易調査票」を用いる
・2012年に開発された、新しい尺度を追加したもの
・ネガティブな側面だけでなく、ポジティブな面も評価し、よい点を伸ばす視点
③総合的な職場環境評価
・日常業務の中で、管理監督者がストレスの原因やサインに気付く
・職場安全衛生委員会の中などで意見を取り上げる
17.職場環境の改善方法
〇メンタルヘルスアクションチェックリストを使う
⇒職場環境改善のためのヒント集
・現場で利用しやすい6つの領域30項目に集約・整理してある
〇職場改善を行うポイント
①自分たちの職場に目を向ける
②良好事例に学ぶスタイルを作る
⇒職場内のうまくいっているところや、同職種・同系統企業の事例に習う
③具体的な働きやすさをめざす
18.管理監督者の具体的な役割
・日常の職場管理等による職場環境の具体的問題点の把握
⇒作業レイアウト、勤務スケジュール、休憩時間、人間関係の問題など
・従業員の意見を踏まえての改善策の実施
・改善効果の定期的な評価と見直し、継続的な取り組み
・事業場内外スタッフからの助言や協力を得る
⇒①事業場内産業保健スタッフ…職場巡視(観察)、ヒアリング(聞き取り調査)など
②人事労務管理スタッフ…職場配置、人事異動など
③衛生委員会等…50人以上の労働者がいる事業場は設置義務。有効に活用する←?
19.注意すべきストレス要因
〇業務による心理的負荷
・職場のストレス…事故や災害の体験、失敗、過重な責任、身分の変化、対人関係のトラブル
・職場以外のストレス…個人的な出来事、喪失体験、過重な責任(家庭)、金銭関係、事件や事故
・長時間労働はうつ病などのメンタルヘルス不調を発症させる有力な要因
・時間外労働の限度目安
①1か月単位ー45時間
②3か月単位ー120時間
③1年単位ー360時間
・脳血管疾患および虚血性心疾患等の発症には、時間外労働が関連しているとされる
⇒発症前1~6か月間に45時間を超える時間外労働
・医師による面接指導…時間外労働時間が100時間を超え、疲労の蓄積が見られる従業員が自ら申し出た場合、行うことが義務付けられている
20.ストレスの軽減方法
〇睡眠の重要性
・睡眠不足⇒集中力の低下、効率の低下、判断力の低下⇒ミスや事故
・質のよい睡眠のために必要なこと
①光…朝の光。睡眠促進ホルモンであるメラトニンの生成につながる
②体温…約1度低下する
③自律神経系…副交感神経が優位になる
④寝室環境…明るすぎない、暑すぎない、騒音がない環境を作る
〇運動の重要性
・ストレス解消、精神疾患の症状も改善効果が見られる
・睡眠の質が向上する(寝る前の運動は逆効果)
〇食事の重要性
・ストレスに対抗するためにビタミンB、C群が必要
・カルシウムやマグネシウムは精神安定に効果がある
〇リラクセーションの重要性
・心身のをリラックスさせることでストレスを軽減する
・ポイント…楽な姿勢、楽な服装、静かな環境、イメージや音楽など心を向ける対象を作る、受動的態度で行う
・代表的なものに、呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法などがある。
呼吸法についてはこちら↓
・他にもヨガやアロマテラピー、音楽など様々なものがあるが、自分に合うものを見つけて実践するのが大切
簡単にできる不安対策【書いて整理する】
みなさん、お疲れさまです!
まだまだ寒い日が続いています。インフルエンザも去年の10倍?流行っているとかなんとか…みなさん、体調管理には気を付けましょう。
さて、今日は『不安感情』への対処手段のひとつをご紹介します。
みなさんも、あれやこれやと考えてしまい、結局何をすればいいのかわからなくなってしまったり、30年後、40年後のような、先々の不安まで考えてしまってどうしようもなくなったことはありませんか?
そういう時に、少しは役に立つ方法かもしれませんので、是非読んでみてください(*^^)
不安という感情の前提
まず、誰しもが知っている不安という感情の、前提についてお話します。
①不安は0になることはない。自動的に湧いて出てくる。
②不安は人によって異なる。同じような状況であっても、不安の大きさや深さは人それぞれ。
③不安に対する『正解』はない。あったとしても、それは時と場合、人によって変わるもの。逆に、いくつも『正解』があるとも言える。
④不安を『なくすこと』を考えるのではなく、『減らす』、あるいは『付き合っていく』方法を考える。
言われてみたら当たり前のことかもしれませんね。
でも、不安が大きくなって胸がもやもやしていたり、思考が混乱していたりすると、これらを忘れてしまうこともあると思います。
不安を書き出していく
頭の中だけで、不安に思っていることをぐるぐる考えていても、一層混乱して不安が増すばかりの人もいます。
そんな時はノートやスマホのメモ欄に片っ端から書き出すのも有効な手段です。
具体的な方法を書いていきます。
考え事を書き出す前に
一度深呼吸して、自分の状態を見つめなおしましょう。
胸の中を色々な不安が渦巻いていて、頭の中がネガティブな考え事でいっぱいになっていて、「頭の中だけでは整理ができない」と感じたら、その内容を書いていきましょう。
考え事をノートに書き出して整理する
頭の中でぐるぐる回っている状態、混乱している状態だと、他人はもちろん、自分自身も何を不安に感じているか、何をしたらいいのかわかりません。
まずは、思いつくままに書いていき、感情の整理をしていきましょう。
その際、ひとりで考えると不安で落ち着かなくなることもあるかもしれません。可能なら、誰かと一緒に言語化しながら書き出していきましょう。
※調子が悪い時は無理に書き出す必要はありません。「あ、今書いた方がいいな」と自分が感じた時だけでも構いません。
不安項目をカテゴリー分けする
カテゴリーは大きく以下の3つに分けられます。
- 誰が何をしても解決不能なこと、今考えても答えが出ないこと
- 努力すれば解決可能と思われること
- 考えても仕方のないこと
※どの悩み・不安が、どうカテゴリー分けされるのかが分からない時は、誰かと相談しながらカテゴリー分けをしてもよいかもしれません。
1.3自分の力でどうにかできるものではない不安
まずは、この種の不安を感じてしまっている自分を見つめる(メタ認知:過去記事↓)
見つめることに慣れてきたら「また考えてしまってるぞ、考えても仕方がないことじゃん」と諦める方向に持って行ける可能性が高くなります。
※『諦める、逃げる』は言葉の響きはよくないかもしれませんが、決して悪いことではありません。むしろ、ストレス対処として有効な方策です。
そして、『自分の不安』を意識して感じられるようになったら、そのことを褒めましょう。(例えば、「何もわからない、混乱している状態よりは、不安の対象がはっきりわかってていいじゃん!」というように。)
2努力すれば解決可能と思われる不安
まずは、どのような方向に努力すればいいのかを考えましょう。(例えば、自分の考え方を変える、これまでと違う方法で関わる、『何もしない』をする、全然離さなかった人に話しかける、など。人間関係の不安の場合、相手の性格や考え方を変えるよりも、自分の考え方を変える方が早い場合もあります。)
思い浮かぶのであれば解決策①、解決策②のように、その不安に対する解決方法も書き記して欲しいです。
また、解決策が浮かぶという事は、『こうすればいい方向に向かうかも』というポジティブな考え方ができたということです。そのことを褒めてあげましょう。
※いくら『努力次第で解決可能』に見えても、いきなり『解決!』の状態には絶対になりません。少しずつ少しずつ、解決に近づいていく必要があります。また、最初に考えた解決の目標・到達点が、やはり不可能だと感じたら、途中で方向転換することも解決策のひとつかもしれません。不安の前提のところで述べたように、不安の解決に絶対の正解はないですから。
まとめ
不安で頭の中や胸の中がいっぱいになってしまった時の対処法として、『とにかく書き出してみること』をご紹介しました。
色々書きましたが、一度に色々なこと、すべてを頑張ろうとしなくても大丈夫です。
不安に対する前提を読んでもらって「あ、解決策ってひとつじゃないんだなぁ」と考える機会を得るだけでも十分です。
これらは、何が何でも『やらなければいけないこと』というものではありません。
このやり方が合わない人も当然いると思います。
「自分に合うな」と感じたら、少しずつ、自分のペースでやってみてください(^O^)
メンタルヘルス・マネジメント検定勉強ログ③
お疲れさまです。
順調に進めております。
まだまだ先は長い(笑)
でも普段の業務にも役立つ勉強なのでモチベは高いです(*^^)v
前回の勉強ログはこちらです↓。
13.精神疾患
躁うつ病(双極性障害)
・うつ状態と躁状態の2つの病態が認められる。人口の0.5%。
・躁状態…活動性が高い。抑制や配慮に欠ける。よくしゃべる。発言内容も非現実的。
・双極性障害の種類
①Ⅰ型…入院治療が必要
②Ⅱ型…入院までは至らない軽躁を伴う
統合失調症
・生涯有病率は0.55%とされ、10代後半~30代前半の若年者に発症しやすい。
・陽性症状…幻覚(幻聴・幻視)、妄想、現実と非現実の区別がつかない支離滅裂な思考など
・陰性症状…コミュニケーション障害、意欲・自発性の欠如、ひきこもり傾向など
・治療は薬物療法が基本。陰性症状に対しては薬物の効果が表れにくい。陽性症状が安定しても、陰性症状が後遺障害として残りやすいため、仕事につきながらの療養は難しい。
アルコール依存症
・精神依存…毎日飲まずにいられなくなる
・身体依存…アルコールが切れると手が震える(振戦)、冷や汗が出る、いらいらする、眠れなくなるなどの症状が出る。
・発症例
機会飲酒⇒習慣飲酒⇒飲みすぎて前日のことが思い出せなくなる(ブラックアウト)
パニック障害
・動悸、めまい、息苦しさ、非現実感などの、突然起こる不安発作が繰り返されるもの
・身体検査では呼吸器系や循環器系などに明らかな異常が認められない
・電車に乗ったり、人の多い場所に外出することが困難になる(外出恐怖、広場恐怖)
・予期不安…発作がまた起こることへの不安
・治療…薬物療法など。病気の経過は比較的良好。経過が良好でも1年程度は服薬を継続することが必要とされる。
適応障害
・症状の契機に明らかなストレッサーがある
・症状は、不安、憂うつな気分、行為の障害(無断欠勤、けんか、無謀運転など)が現れ、仕事や日常生活に支障を来す。
・契機となったストレッサーや、ストレス状態が解消すれば症状は比較的速やかに消失する。
睡眠障害
①不眠症…週に3回以上眠れない状態が、1か月以上にわたって継続する。それによって、本人が苦痛を感じたり、社会的活動に影響が出ている。
・入眠障害…眠ろうとしても30分~1時間以上寝付けず、苦痛が生じる
・中途覚醒…入眠したのちに何度も目が覚めてしまう
・早朝覚醒…通常の起床より2時間以上前に覚醒し、その後入眠できない
・熟眠障害…深く眠った感じが得られない
②過眠症…日中に我慢できない眠気が襲い、通常では考えられない状況下で発作的に眠ってしまう。代表的なものとして、ナルコレプシー
③概日リズム睡眠障害…個人の睡眠覚醒リズムと、社会生活時間帯との大きなずれで生じる。睡眠相後退症候群など(明け方にならないと眠れない)
④睡眠関連呼吸障害…睡眠時無呼吸症候群など
発達障害
・注意欠陥多動性障害(ADHD)…不注意、多動性、衝動性等の問題を抱える
⇒集中力や落ち着きのなさ、きれやすい、衝動コントロールができない、ケアレスミスの多さなどにつながりやすい
・自閉症スペクトラム障害(ASD)…想像力の欠如やコミュニケーションの障害、対人交渉における質的な問題を抱える
⇒同僚や上司と良好な人間関係を築けない、周囲の人の気持ちが分からない、会話が一方的になる、予定された業務が変更になるとパニックになる、などの問題が起こりやすい
14.心身症
〇心身症とは
・高血圧・糖尿病などに代表される身体疾患のうち、その発祥や症状変化と心理社会的要因(ストレス)との間に明らかな対応が認められるもの。
・器質的障害と機能的障害が認められる身体疾患の病態でありながら、要因として『心理社会的因子』があげられるため、業務に関連したストレスが重要となる
・≠こころの病
〇心身症の種類
①過敏性腸症候群…腹痛を伴う下痢や便秘などの症状が出現する大腸の疾患。腹痛の他にも、食欲不振、嘔吐、頭痛、めまい、不眠などの症状が現れる場合もある。
・下痢型…大腸全体が微細に痙攣している状態
・便秘型…肛門に近い部位が強く収縮し、便の通貨を妨げている状態
・不安定型…下痢型と便秘型の交替型
②緊張型頭痛…頭を締め付けられているような頭痛で、脈打つのではなく、連続性の痛みが特徴。片頭痛に見られるような吐き気はない。
③摂食障害…食事や体重に常軌を逸したこだわりを示す。痩せたいという強い願望や、太ることに対する恐怖心が特徴的。
・思春期から青年期の女性に多く見られる。
・神経性食欲不振症(拒食症)…食事を摂らなかったり、食べたものを吐いたり、下剤を乱用したりする。活動性は高い。
・神経性大食症(過食症)…大量の食べ物を一気に食べ、直後には吐いたり、下剤を乱用することで体重増加を防ごうとする。過食や嘔吐後は自己嫌悪に陥り、気分がひどく落ち込むことも。
・「食べる、食べない」という行動の問題ではなく、その背景にある問題を探索することが解決には必要。