しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

薬物依存症って?~治療編~

みなさん、お疲れさまです!

 

薬物依存症の記事の続きです。

 

これは下書きに残してたので(笑)

 

さて、前回は薬物依存症の基本についてお話ししました⇓

 

 

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今回は、じゃあ実際どんな問題が起こってくるの?というところと、具体的にどう治療していったらいいの?という点についてお話します!

 

 

薬物依存症が生み出す問題

薬物依存症になると、大きく分けて以下の4つの問題が起こります。

 

健康の問題

まずは当然ですが、健康の問題ですよね。

不眠、食欲不振、めまい、頭痛などの身体的な障害のみならず、精神障害様の症状も起こりえます。

 

家族関係の問題

信頼性の失墜、経済的な問題、家庭内暴力などによる家族関係の崩壊が考えられます。

また、本人の健康のみならず、家族の心身の健康も損ね、心は疲弊していきます。

 

対人関係の問題

薬物乱用による性格の変容、具体的には忍耐力がなくなってしまうという特徴から他者との衝突が増えます。

結果として、知人友人が離れていき、コミュニティから孤立してしまいます。

反面、自分を唯一受け入れてくれるように感じられる薬物乱用仲間との歪なコミュニティを形成してしまいます。

 

社会生活上の問題

集中力、意欲、職務能力などの低下により、仕事や学業を怠けるようになっていき、最終的には失業、退学してしまいます。

それでも薬物をなんとかして得なければならないので、借金をしたり、犯罪に手を染めるようになってしまいます。

 

これらの諸問題は、程度の差こそあれ薬物依存症のプロセスの中で、誰しも経験することです。

 

また、大きな流れはあるものの、諸問題が同時的、複合的に起こることも少なくありません。

 

 

治療について

 

まず、前提として薬物依存は治りません。

一度薬物の快感を覚えてしまえば、それを依存する前の状態、つまり薬物を目の前に出されても『何も感じない』というのは実質不可能です。

 

しかし、薬物を止めつづけることで、信用や財産、健康などを取り戻すことはできます。

 

そういう意味で薬物依存は治らないが『回復できる』病気と言われます。

 

とはいえ、特効薬のようなものはありませんし、長い闘病生活となります。

また、それをひとりで行うのは非常に難しく、周りの人のたすけが必須となっています。

 

実際、ひとりで病院に通っていて治るというものではなく、依存症同士の回復のための自助グループなどに参加することが有効な手段と言われています。

 

基本編でも述べましたが、薬物依存は基本的に『孤立の病』です。

 

そしてその本質は、「快感を求める人たち」ではなく、「苦痛から逃れたい人たち」です。

 

つらい現実がある、目を背けたい苦痛がある、そういう人こそ依存症になるのです。

 

その本質を理解した上で、その苦痛に寄り添うことが、回復のための第一歩であり、最終形態だと思います。

 

日本のメディアの報道のあり方が『依存症者は快楽主義者で犯罪者』というものであり、非常に誤解を招きやすいものなっています。

 

その誤解は依存症患者をさらに回復から遠ざけるものになっています。

 

薬物依存はともかく、アルコール依存、タバコ依存一歩手前のような人は身近にもいるかもしれません。

 

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正しい依存症についての知識が広まることを祈っています!

 

終わり