しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

DPAT研修を経てpart2 ~心理士としてのDPAT~

こんばんは。

 

前回の記事↓に引き続き、DPATについてお話していきます!

 

 

www.cpheco.xyz

 

今日はDPATの具体的な活動について少し触れながら、心理士としてDPATに参加する際の注意点について書いていきます。

 

 

 

 

CSCATTT

 

まずは、大規模事故・災害への体系的な対応に必要な項目をまとめたCSCATTTを紹介します。

 

これはDPATに関わらず、被災地に入り支援活動をする組織すべてに当てはまると思います。

 

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CSCAがマネジメントで、要するに支援を行うための環境作りですね。

 

TTTが具体的な支援になります。

 

CSCAのひとつ目のC

 

DPAT(DMATもそうですが)においては、かなり大きな組織になるためCSCAのC(Command & Control:指揮と連携)が非常に重要になってきます。

 

どれだけ優れた支援方法、支援者がいても、それを必要とする人のところに精確に配置しなければ意味がありませんよね。

 

そのために、現場や人材、状況の把握をする軸が必要になります。

 

DPATやDMATでは縦の糸横の糸としてその軸を規定しています。

 

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厚生労働省DPAT活動要領』から

都道府県の災害対策本部から下に伸びる矢印が縦の糸で、DPATとDMATを繋ぐ矢印が横の糸ですね。

 

DPATの本部からは直接現場が見えるわけではないので、現場に出ている者からの密な連絡が必要不可欠になるわけです。

 

TTTの3つ目のT

 

個人的に難しいと感じたのはこの3つ目のTでした。

 

つまり、搬送(Transport)です。

 

精神科の入院形態は実は様々あります。

 

任意入院、措置入院医療保護入院、応急入院などですね。

 

被災状況であっても、これは変わりません。

 

なので、被災状況においてもそれらの入院基準を満たす様々な要件、条件をクリアしなければならず、それが時に支援者を大きく悩ませることになります。

 

ここら辺はかなり複雑なので、また別の記事で詳しく書きたいと思います。

 

 

心理士としてDPATに加わる

 

心理士として、とか書いていますが、心理士はDPATに加わる際にはロジスティクス(業務調整員:通称ロジ)として参加します。

 

精神科医と看護師以外の構成員は、精神保健福祉士であれ薬剤師であれ事務職員であれ、みなこのロジになります。

 

ロジスティクス(logistics)とは、元々軍事用語で、軍隊の装備品、糧食などの軍事品の調達、供給に関する兵站(へいたん)術、およびその具体的運営を意味する単語だったそうです。

 

災害医療の場では、備品や食品よりも情報の収集、連絡、調整、記録等が主な仕事内容ですね。

 

『情報を制する者は災害を制する』とまで言われるほど情報の伝達や収集が重要視される災害医療においては、欠かせない業務になります。

 

心理士としての専門性を発揮できるかどうかは正直難しいところですが、大事な仕事なので出動要請がかかったら一所懸命に働きたいと思います。

 

ここら辺に関して、国家資格である公認心理師が施行されたことによる何かしらの変更があるかは不明です(^_^;)

 

 

ロジの具体的な仕事

 

ここでは心理士の、というよりはロジとして現場に入った際の仕事内容や注意点をまとめたいと思います。

 

 ①記録

 DPAT本部は様々なところと常に連絡を取り合っているためなかなか連絡がつかないこともありえる。そのため、『何時に誰が何をしたか』ということを時系列に沿って記録しておく必要がある。情報は正確に記録する。

 

②本部や各病院、その他関係機関との連絡・調整

 連絡は基本的にこまめに行う。例えば、「何時にどこに到着したか」「現場での状況」「これからどこに向かうか」「患者の状態」など。本部からは現場がまったく見えないため、班からの連絡がかなり重要となる。

 医師や看護師が患者を診ている間に連絡調整をするのが望ましい。

 どこかに移動する際の『移動手段』や『安全経路』も本部に確認する必要がある。

 

③現場で困ったらすぐ上に相談する

 勝手な判断はしない。

 

 

まとめ

 

心理士としてDPATに加わるとしたらロジスティクスとなります。

 

基本的には専門性は発揮しにくそうですが、班の構人数によっては連絡調整をしながらも被災者、患者と関わっていくこともできるかもですね。

 

公認心理師が増えていったら精神科医、看護師、公認心理師、ロジの体制になるかも?いや、ないか(笑)

 

次回は精神科の入院形態についてまとめつつ、災害時はどのように対応していかなければならないのかをまとめていきたいと思います。