児童相談所の機能【南青山の児童相談所設立に関しての住民の反対意見を受けて】
こんばんは。
先日、児童相談所の機能のひとつである一時保護所については取り上げました。
しかし、当然ながら、児童相談所の機能は一時保護だけではありません。
現在、巷を騒がしている南青山の児童相談所設立の件(下記動画参照)を傍観していて、あまりにも児童相談所に対しての偏見、無理解がひどいと思いました。
「何で南青山5丁目なんですか」 住民から反対の声(18/12/15)
【南青山児相問題】南青山の児童相談所関連施設反対住人のとんでも発言フルver.【アホセレブ】
青山在住の芸能人もこんなことを言っていますね…。
少しでも理解に繋がればと思い、児童相談所の機能について記事にしてみました。
乱文ですみませんが、どうぞよろしくお願いします。
児童相談所の基本的な機能
大きく分けて4つあります。
①市町村支援機能
児童相談所は、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行います。
具体的には、市町村職員への研修の実施及び法律の改正や先進事例の紹介、ケース処遇に対する助言などです。
②相談機能
相談所というくらいですから、相談機能が大きな役割を占めているのも当然ですね。
児童相談所には、児童福祉司・児童心理司・医師・児童指導員・保育士・保健師等の職員がいるので、専門的な知識や技術を必要とする子どもの相談に応じることができます。
虐待をしている、してしまいそう・いじめについて・障害(身体、知的、精神、発達)・育児環境について・育児相談など、相談内容は多岐にわたります。
また、必要に応じて上記の専門家が、多角的に家庭の調査、子どもの診断、判定をし、それに基づいて援助指針を決定し、各関係機関等と連携し子どもの援助を行うことになります。
③一時保護機能
児童相談所長が必要と認める場合は、児童相談所内の一時保護所に子どもを一時的に保護することができます。
これは以前記事にした通りです。
④措置機能
措置って言葉の響きがなんとなくわかりにくいし、なんか重いですよね…
福祉上で『措置』というと、「援助が必要な人に対して、法上の施策を具体的に行う行政行為のこと」です。
要するに、実際に子どもを支援するために何をするのかってことです。
これは大きく分けて3つあります。
(1)児童福祉司指導措置等
児童福祉司等による子どもや保護者への指導の実施や、保護者に訓戒を加え誓約書を提出させる。
(2)施設入所措置
(3)里親委託措置
子どもを里親に委託する。
里親に関しての過去記事です↓。
南青山の住民の偏見について
南青山の児童相談所(正式には港区子ども家庭総合支援センター)の住民説明会であがっている反対意見は、
「ネギひとつ買うのにも紀ノ国屋に行く。DVで保護される人は生活に困窮されていると聞くのに、生活するのに大変なはず」
「ランチ1600円もするとこでそういう人たちは生活できるのか」
「青山は日銀の社宅もあり、公立学校でも非常にレベルが高い。そんな中でそういう子どもたちはついていけるのか。逆にかわいそうだとは思いませんか?」
「一時保護されてきた虐待児や非行少年が一般の子どもに与える影響は考えたことがありますか。それで暴力事件があった時責任が取れるんですか?」
などです。
答えられるところを一つずつ答えていきます。
まず、DVで保護される人は~というもの。
これは児童相談所ではなく母子生活支援施設の機能の方ですね。
こちらは一時保護所よりは規制が厳しくなく、外出もできます。
ただ、食事が出るのでネギ1本買うのにも云々のような心配は余計なお世話だと思います。
あくまで安全が確保されるまでの一時的な生活の場ですので。
次に、一時保護所の子どもたちと地域の子ども達との接点についてです。
まず、一時保護所から近所の学校に通うということはありません。
あくまでも『一時』保護ですし、籍は元の学校のままです。
なので学校で『あなたの大切な大切な』お子さんと接することはないのでそんなに心配しなくても大丈夫ですよ、と言いたい。
前回の記事でも書きましたが、一時保護されてくる子ども達は、外出はほとんどできないし、できたとしても職員が何人か付いていないとできない、時間もほんの数時間など、かなり制限されています。
脱走をする、というのもその閉塞感から、という理由が大きかったように思います。
少なくともぼくが関わった子どもたちは素直な子ばかりでした。
非行少年というと昔のヤンキーみたいなイメージかも知れませんが、実際は家に居場所がなく深夜に外にいるところを保護されるというような、言ってしまえば虐待ケースの場合も多かったです。
まぁ、こんな反対意見は建て前で、青山の住民説明会で反対している人たちは結局のところ『青山のブランドイメージを守りたいんだろうな』という印象ですけどね。
子どもを社会で育てる意識
今回のことで一番言いたいのは『あまりに他人ごと過ぎませんか?』ってことです。
何度も言っていますが、児童相談所は『相談施設』です。
相談というのは何も虐待のことだけではありません。
児童相談所の相談機能のところでも書きましたが、育児相談や障害のある子どもの相談、いじめ問題など、多くの専門家がそれらに対応してくれます。
今の世の中、自分の子どもだけはいじめに遭わないと言い切れますか?
いつ事故にあって身体のどこかに障害が残らないと言えますか?
自分は完璧に子育てができると思いますか?
今は何もないから大丈夫と思っていても、なにかあってからじゃ遅いんです。
結愛ちゃんのような子を、もう二度と出さないようにするために国民一人一人に意識の変革が必要なんです。
虐待やそれ以外の理由で困っている子どもや親は大勢います。
南青山のエリアにも絶対にいるはずです。
住民説明会に反対に来ているのは、いわゆる富裕層だと聞きました。
ブランドイメージとかいうわけのわからない理由で、大きな声が出せない社会的に弱い立場にいる人をさらに苦しめるようなことはしないで欲しい、と切に思います。
大きな何かをしよう!とは言いません。
でも、子どもは社会で育てる意識だけは少しでも皆さんに持ってもらいたいと思います。
最後に、児童相談所や児童虐待についてわかりやすい漫画があるので紹介しておきます。
興味のある方は読んでみてください。