しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

里親制度~子どもは社会で育てよう~

こんばんは。

 

 

ぼくが住んでいるところはすっかり寒くなり、街は雪化粧をしております。

 

 

土日は家からほとんど出ず、ごろごろしていました。

 

 

借家ですが、こうした自分の空間があるって幸せなことだなぁ、としみじみ思います。

 

 

ところで、みなさん里親制度というものを知っていますか?

 

 

聞いたことはある!って人は多いと思いますが、現状や具体的な制度を知っている人って意外と少ないような気がします。

 

 

前の記事↓でも書きましたが、ぼくは教育大の福祉学のコースに属していました。

 

 

www.cpheco.xyz

 

また、実は、実家の両親は里親をしています。

 

 

さらに言えば、児童相談所の一時保護所*1で働いていたこともあり、関わった子どもたちが里親に引き取られていくところを見ていました。

 

 

そんなこんなで、里親制度はぼくの大きな関心ごととして在るのです。

 

 

今日はそんな里親制度について少しご紹介したいと思います。

 

 

 

 

社会的養護

 

 

里親について話す前にまず、社会的養護という言葉について話さなければいけません

 

 

社会的養護とは、親と⼀緒に暮らせない⼦どもたちを公的な責任のもとで社会的に養育することです。

 

 

その手段は、大きく①乳児院*2児童養護施設*3(要は施設)と②里親・里親ファミリーホーム*4に分けられています。

 

 

そして、日本には約45000人の社会的養護の子どもたちがいます。

 

 

その子どもたちを施設制度と里親制度の2つの手段で養護しているのです。

 

 

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日本子ども支援協会より

 

 

上の画像を見てもらえばわかるのですが、そのほとんどは施設制度でカバーされています。

 

 

カバーされている、とは言いましたが、現状施設での養護も上手くいっているとは言い難く、改善が待たれます。

 

 

今回は里親制度についての記事なので、そちらは割愛しますが、また別記事でご紹介できればと思います。

 

 

 

 

 

 

里親制度について

 

 

それでは里親制度についてお話ししたいと思います。

 

 

まず、日本子ども支援協会のHPには

 

様々な理由で親と暮らせない⼦どもたちを、家庭環境の下で養育する制度です。
家庭での⽣活を通じて、⼦どもが成⻑する上で極めて重要な特定の⼤⼈との愛着関係の中で養育を⾏うことにより、⼦どもの健全な育成を図ります。

 

と、あります。

 

 

施設での養護に対して、各家庭で養育するという形ですね。

 

 

里親の種類

 

里親制度にはいくつか種類があります。

 

 

細かく説明していくと、一つ一つが長くなってしまうので、ざっくり説明させてもらいます。

 

 

また、里親には手当が出ますので、そちらの金額も併せて載せておきます。

 

 

①養育里親

 原則として0歳~18歳まで(進学しなかった場合は中学卒業まで)の要保護児童を一定期間養育する里親。場合によって20歳まで延長あり。基本的には、実親の元で暮らすことができるようになるまで。

 里親手当: 児童1人あたり 月額 72,000円(2人目以降 36,000円)

 

②専門里親

 虐待された児童や非行等の問題を有する児童、及び身体障害児や知的障害時児など、一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する里親。基本的には2年間。家庭への家庭復帰や家族再統合、自立支援を目的とする。

  里親手当: 児童1人あたり 月額 123,000円(2人目以降 87,000円)

 

 

③特別養⼦縁組⾥親

 原則6歳未満の養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度。

 里親手当: なし

 

④親族里親

 3親等以内の親族(祖父母、叔父、叔母など)の児童の親が死亡、行方不明、拘禁、入院や疾患などで養育できない場合の里親のこと。児童の精神的な負担を考慮し、養育里親よりも親族里親が優先されることが多い。

 里親手当: なし

 

①~④については手当の他に生活諸費として以下の金額が支給されます。

 乳児:1人あたり 月額 54,980円

 乳児以外:1人あたり 月額 47,680円

※上記の他に、教科書代や通学費、進学準備金や医療費の実費なども支給。各自治体によって異なる。

 

⑤季節・週末里親

 お正⽉や⻑期休みの、週末などに数⽇〜1週間程度、⼦どもを家に迎える⾥親。

※地域によって呼び⽅や仕組みが異なる。

 

 

 

 

意外と種類多いですよね!

 

 

知らないものもあったのではないでしょうか。

 

 

以後、この記事でいう『里親』は、ほとんど『養育里親』を指していると思って読んでいただけたらと思います。

 

 

 

施設養護との比較

 

 

一般的に、あるいは心理学的にも、施設などで『多数の子どもの中のひとり』として育てられるよりも、各家庭の中で『自分だけを見てくれている』という経験・感覚は健全な発達に必要とされます。

 

 

自分の存在が受け入れられている、愛されているという感覚が、自己肯定感や基本的信頼感に大きく影響するということですね。

 

 

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つまり、理想としては施設等での養護よりも、家庭養護の割合が多いことが望まれるということです。

 

 

しかし、現状日本での社会的養護の割合は、上の画像が示す通り施設:里親=8.7:1.3です。

 

 

諸外国と比べると明らかに施設偏重が目立ちます。

 

 

日本と諸外国の差について、今ここで「なぜか」と論ずるつもりはありませんが、諸外国と比べると明らかに家庭養護が少ないという現実は受け止めなければいけないでしょう。

 

 

諸外国では、『施設養護は家庭養護で保護しきれない場合のやむを得ない選択として機能すべき』とされているので、日本のこのような施設偏重は海外からも批判されているそうです。

 

 

乳児院(1歳未満の乳児の養護をする施設)に関して言えば、諸外国ではもはや廃止されていると聞きます。

 

 

少し古いですが、データがあったので載せておきます。

 

 

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里親は日本ではあまりイメージがよくない印象を受けます。

 

 

www.news-postseven.com

 

上記のような里親が里子を虐待するというニュースが時折聞かれることや、日本において『血の文化』というようなものが根強く残っており、血縁関係にない子どもを育てることに対する偏見も色濃く残っていることも、里親理解が広まらない原因かもしれません。

 

 

しかし、既に述べましたが、家庭養護の方が子どもは生育のためにいい環境で育つことができます。

 

 

特に、施設で集団生活をするのには難しい要因(被虐待経験、発達障害傾向、愛着障害傾向など)を持つ子どもの場合はなおさらです。

 

 

できることならば、この割合が少しずつ逆転していくことを願います。

 

 

大事なことは、社会的養護が必要な子どもが45000人もいて、その子どもたちは社会で育てていかなければならないという意識を持たなければいけないことです。

 

 

具体的に何をするわけでもなくとも、関心は向けていきたいところだな、と個人的には思います。

 

 

 

里親になるには

 

 

里親になるには基本的に以下のチャートにしたがって動くことになります。

 

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日本子ども支援協会より

 

登録までは大体、半年程度かかるようです。

 

 

興味のある方は覚えておいていただけたら幸いです!

*1:虐待、置去り、非行などの理由により子ども(おおむね2歳以上18歳未満)を一時的に保護する施設。親の元に返せないと判断された場合、施設や里親委託となる。

*2:1歳未満の乳児の養護

*3:1歳以上18歳未満の児童の養護

*4:小規模住居型児童養育事業。里親のうち多人数を養育するものを事業形態とし、 相応の措置費を交付できる制度としたもの。