しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

一時保護所ってどんなところ?

こんばんは。

 

みなさん、一時保護所ってご存知ですか?

 

昨今は、虐待関連のニュースも大きく取り上げられるようになってきてますので、どこかで耳にした方も多いかもしれませんね。

 

要するに、児童相談所内にある、子どもを保護する施設ですが、どんなところかイメージできる人は少ないように思います。

 

ぼくはこの一時保護所で3年ほど働いていました。

 

と言っても心理士やケースワーカーとしてではなく、児童指導員としてですが。

 

その経験を基に、簡単にですが説明させてもらいたいと思います!

 

 

 

 

保護対象は?

 

まず、一時保護所はその名の通り、一時的に、保護するところです。

 

そして、一時保護所は、最初に言った通り児童相談所に付設されています。

 

つまり、子ども(法律上は0-18歳)を保護するところです。

 

ではどんな子どもが保護の対象になるのでしょうか。

 

大きく分けると虐待児、虐待以外の養護(親の養育能力不足など)、非行となっており、半分は虐待が理由で保護されています。

 

少し古いですがデータを載せておきます。

 

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なんのために保護するのか

 

安全を守るため

 

これは言うまでもないですね。

 

まずは安全の確保です。

 

虐待ケースであっても、非行ケースであってもです。

 

虐待加害者に指導をする

 

子どもを安全なところで保護したのちに、児童相談所職員が適切な育児をしてもらうための助言や指導をします。

 

今後の方針を決める

 

虐待ケースなどで、養育者の反省も見られず、どうしても自宅に帰すのが難しそうな場合は社会的養護をすることになります。

 

社会的養護に関して(里親制度についてですが)は、以前少し記事を書いていたのでそちらもご覧ください。

 

 

www.cpheco.xyz

 つまり、養護施設か里親に委託されることになります。

 

しかし、↑の記事でも書いているように、里親制度は日本ではほとんど利用されていません。

 

つまり、一時保護された子ども達はほとんどの場合、施設に行くことになります。

 

施設も、空きがなかったり、一時保護所で問題を起こしたような子どもはなかなか受け入れてくれなかったりで、スムーズに入所できることはあまりないです。

 

一時保護所にいられる最大の日数は2か月と定められているのですが、児童によっては期間を延長して3か月、4か月一時保護所で過ごさなければならない子もいました。

 

では、そんな一時保護所での暮らしは一体どんなものなのでしょうか。

 

 

一時保護所の生活

 

生活はとても厳しく管理されることになります。

 

刑務所のような生活、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、イメージ的には近いと思います。

午前

7:00 起床
7:05 自分の布団をたたみ、着替える

7:30 掃除 日によって担当する場所(洗面所、お風呂、廊下など)+自室

7:45 食事の準備(配膳やご飯をよそうなど)

8:00 朝食、食器洗いも自分の分は自分でする
8:30 洗濯(自分の服は自分で洗濯し、自分で干す)

9:00 朝の会、ラジオ体操など
9:25 読書の時間

9:45-12:00 自習形式の学習時間(各児童に合わせたプリントなど、大抵学校からもらえる)、学習サポーターのような職員はいるが、質問があった場合に教えるという形式、間に休憩が10分程度

 

午後
12:00 昼食、昼休み
13:00~ 勉強だったり、創作活動だったり、グループワークだったり
15:00 おやつ

15:30~18:00 自由時間、この時間内に一日の日記を書く、それ以外は体育室で遊んだり、テレビを観たり、本を読んだり
18:00 夕食
18:30 順番に入浴、入浴以外の子は自由時間
20:00 幼児就寝

21:00 小学生就寝

22:00 中学生以上就寝

 

施設によって微妙な違いはあると思いますが、大体こんな感じでした。

 

時間ごとにすることが厳しく決められていて、守らないと怒られます。

 

小学生低学年だろうが、高校生だろうが、です。

 

布団たたみや食器洗い、掃除、洗濯など自分のことは自分でやらなければいけません。

 

なので、雨の日は子どもたちは喜んでいました。

 

理由は、乾燥機を回すので外に干す手間がなくなるからです。

 

男子棟、女子棟とわかれているのですが、各棟に向かう扉には内鍵がかかっているので、子ども達は自由に移動できません。

 

就寝以降、何かあったらその扉をガンガン叩いて職員を呼んでいました。

 

外にも基本的に自由には行くことができません。

 

なので、保護を希望していない非行少年などは何人かで相談して、脱走を企てることもあります。

 

非行少年じゃなくても、厳しい規制のある生活を抜け出そうと脱走をする子もいました。

 

ぼく個人としては、保護なんだからこんなに厳しくしなくても…と思わないでもないです。

 

しかし、職員は毎日入れ替わりで働きます。

 

A職員はこれを許可した、B職員はダメって言った。だと統制が取れなくなってしまうのです…。

 

また、子どもたちの中には自宅に帰れず、そのまま施設入所となってしまう子もいます。

 

そうなると、一時保護所のような生活が今後ずっと続くわけです。

 

そのためにも、自分のことは自分でできるようになっていく、ということに慣れる必要もあります。

 

虐待家庭で育ち、色々な課題を抱えた子どもも少なくないため、また、非行少年も一緒に生活する必要もあるため、全員が安全な生活をするためにはそれなりに厳しい規制は必要なのかもしれませんね…。

 

 

 

職員はどんな人たち?

 

勤務形態など

 

ぼくは指導員として平日は18:00~朝の8:30まで、土日は朝8:30~18:00までの勤務時間で、大体週に3日ほど働いていました。

 

非常勤職員という括りになります。

 

正規採用の職員(公務員)は2名だけ、うちひとりは保護所だけでなくその他の部署も管理していたので、実質は1名だけでした。

 

その他に、フルタイムの嘱託職員が大体3人くらいいました。

 

つまり、平日の日中は大体4人くらいの職員で子どもたちを見ていたという事ですね。

 

そして夜はぼくのような指導員に引き継ぎ、嘱託職員も正規職員もいなくなり、非常勤職員だけで子どもたちを見ていました。

 

一応何かあれば(脱走など)社用携帯に電話をするという事になってはいましたが…

 

資格など

 

はじめは心理系や教育系の大学院に通っている学生や、保育士の経験がある人など「それなりに子どもに対しての知識があってしっかりした人」を募集していたの(口コミがほとんど)ですが、人手不足だったため『資格・経験問わず』の募集をするようになりました。

 

当然、そういった枠で来られた方の中には子どもの対応が分からず、大きな問題を引き起こしてしまった人もおられました。

 

人手不足はわかるのですが、誰にでもできる簡単な仕事ではありません。

 

それなりに知識や経験がある人を募集してほしい、と心の底から思いました。

 

給与高くしたり待遇良くしたりしないといい人材は集まらないのに、この国はほんとそこらへん注力したがらないですよね…

 

 

余談ですが、日本の社会的養護費って諸外国と比べてもかなり少ないらしいですよ。

 

これも古くて申し訳ないのですが一応載せておきます。

 

もしかしたら改善されてるかもしれないので、参考程度に。

 

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今日は一時保護所の生活をまとめてみました。

 

なんとなくでもイメージが伝われば幸いです(^O^)

 

 

※タイムスケジュールや職員の状況などは、ぼくが働いていた当時のものです。現在は変わっているかもしれません。また、都道府県ごとにも微妙な差異があると思います。ご理解願います。