しなやかなこころで、

臨床心理士Hecoのひとりごと

チック症の種類と治療法

こんばんは。

 

 

最近仕事の方が忙しくなってきました。

 

 

年が変わる前に!と来られる患者さんは多いみたいです。

 

 

冬は体調を崩しやすいということも影響しているかもしれませんね。

 

 

皆さんも体調管理には気を付けてください。

 

 

 

 

さて、今日は『チック』の話をしたいと思います。

 

 

ぼくの診ている患者さんのひとりで、チックが原因でからかわれ、結果仕事に行けなくなった人がいます。

 

 

チックに限らずですが、日本は障害の理解という視点が弱いように感じています。

 

 

視点、というよりも、学ぶ機会があまりに少ないような気もしています。

 

 

記事にすることで少しでも多くの人が種々の症状や障害を知り、偏見や当事者の心労が減ることを祈るばかりです。

 

 

では、チックについて書いていきます!

 

 

 

 

チックとは

 

 

聞いたことがない人もいるかもしれませんね。

 

 

正しくはチック障害、チック症などと呼ばれています。

 

 

基本的には小児の障害、症状です。

 

 

いわゆる『発達障害』とは異なるのですが、心身の発達上で起こりうる障害なので発達障害のひとつにくくられることもあります。

 

 

メディカルノートでは

 

神経疾患のひとつ。

本人の意思とは関係なく(不随意)・急に(突発的に)運動や発声が反復して起こる病態で、それぞれ運動性チック、音声チックと呼ばれる。

 

とされています。

 

 

要するに、身体の一部が勝手に動いてしまったり、言葉が勝手に出てきてしまったりする症状です。

 

 

勝手に、というところがポイントです。

 

 

本人はそうしようと思っていない→でもいろんな人から突っ込まれる→意識して動かないように、発さないようにする→これが難しい…→本人もどんどん困るようになる→劣等感、自己効力感の低下

 

 

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という流れが作られやすいのです。

 

 

周りの人、学校、職場、社会の理解が求められる症状のひとつだと思っています。

 

 

 

運動性チックの種類

 

 顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返す。

 

まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ、etc。

 

 

音声チックの種類

 

 ンンン、という声や鼻をすする、咳払い、ぶつぶつ言う、どなる、鼻を鳴らす、etc。

 

複雑性チック

 

 上記の症状は単純性チックと呼ばれるもので、他にも複雑性と呼ばれるものもあります。

 

 

〇言語性の複雑性チック

 

  • 単純性チックの組合せ(頭をふることと肩をすくめることなど)
  • 汚行:性的または卑猥な身振り 
  • 反響動作:他の人の動きをまねる

 

 

〇音声の複雑性チック 

 

  • 汚言:社会的に不適切な言葉(卑猥な言葉や人種差別的な言葉)を発する
  • 反響言語:自分または他の人が発した言葉や音を繰り返す
 

 

 

 

 
 
 
 

チックの経過 

 

 

チックは子どもによくみられますが、大抵は一過性です。

 

 

18歳まで(典型的には4~6歳の間)に始まり、およそ10~12歳の間に症状が最も激しくなり、青年期に入って減少、そして、ほとんどのチックはやがてなくなります。

 

 

しかし、少数の例(約1%)では大人になっても重度のまま続いたり、悪化したりする場合があります。

 

 

男児の方が発症しやすいとされており、性差は2:1~4:1の範囲と言われています。

 

 

 

原因

 

 

基本的には原因は判明していません。

 

 

家族内に多発する傾向があるため、遺伝的因子が関与していると考えられてはいます。

 

 

元となる原因は分かりませんが、症状が出やすくなる原因はわかってきています。

 

 

症状の悪化には不安、興奮、強い疲労感、ストレスなどが関わっており、逆に、落ち着いて集中している時、リラックスしている時は改善することが多いということです。

 

 

また、これも原因ははっきりしていませんが、チックのある小児には、ADHD強迫性障害、不安障害、うつ病学習障害など、他の症状や障害が見られることも多いとのことです。

 

 

 

トゥレット障害

 

 

チック障害の派生なので、覚えてもらいたいです。

 

 

定義は、

 

多種類の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上にわたって続くチック障害。

 

とされています。

 

 

基本的には『チック症状が多種類に渡っており、かつ慢性化していること』という理解でいいと思います。

 

 

 

治療についてとまとめ

 

 

基本的には抗精神病薬による薬物療法が一定の効果を示します。

 

 

また、特に長期化している方は、二次的に抑うつ感、劣等感、対人不安感、社交不安感、神経質などの症状を呈することも多いため、そちらに対する支援やケアも必要になります。

 

 

そして、もっとも大切なことが環境調整です。

 

 

つまり、「チックとは、トゥレットとは」ということを周りの人に対して説明し、理解を求めるという事です。

 

 

冒頭でも述べたように、日本は圧倒的に障害に対する理解がたりていません。

 

 

ぼくのところに来た患者さんも、理解がきちんとなされている職場であれば、変にからかわれたりすることはなく、自身の症状を気に病むこともなく、休職に至ることもなく、働き続けることができていたかもしれません。

 

 

障害は(精神疾患に関しては特にそう)、当事者が作っているものではなく、社会が作っているということが往々にしてあるとぼくは思っています。

 

 

色々な人の話を聞いて、最近はそれを強く思うようになりました。

 

 

つまり、逆に、障害(者)に対して理解のある環境、社会であったら、障害(者)は減るのではないでしょうか

 

 

少しずつ、理解を広めていけたらいいなぁ。