DPAT研修を経てpart1 ~DPATについて~
こんばんは。
先日出張でDPATの研修を受けてきました。
ほとんどの人にとって「DPATってなんぞや?」だと思うので、アウトプットがてら少し説明したいと思います。
色々な知見が得られた研修だったので、いくつかに分けてブログを書きたいと思います。
よかったらお付き合いください(^O^)
DPATとは
DPATはDisaster Psychiatric Assistance Teamの頭文字からきています。
意味は災害派遣精神医療チームで、被災地域の精神保健や精神医療に寄与すべく都道府県及び政令指定都市(以下「都道府県等」という。)によって組織される、専門的な研修・訓練を受けたチームのことです。
専門的な研修・訓練とは国立精神・神経医療研究センター内「災害時こころのケア情報センター事業」が行っているもののことで、今回ぼくが受けてきたのもこれになります。
チーム構成は上記のような研修を受けた精神科医や看護師など2名から5名(基本的には医師・看護師・ロジスティクス(業務調整員)の3名)となります。
詳しくはここ↓にすべて載っています(笑)
わざわざ見てられるか!って人のために超簡単に説明します!
要するにDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)の精神科医療版です!笑
かなりざっくりとですが、そういう認識で間違っていないと思います。
DMATはコードブルーやDr.DMATなどドラマで取り上げられることも多いので知っている方も多いのではないでしょうか。
DPATはまだまだ歴史も浅く、今後の活動が期待される組織です。
DPATのできた経緯
きっかけは1995.1.17の阪神淡路大震災です。
大規模災害においては、身体的な医療支援だけではなく、心理的な支援もかなり重要だ!ということが共通認識となったのです。
その後、大規模災害時にはDMATと同じように精神科医のチームが被災地に派遣される事は単発単発ではあったのですが、DMATのように正式に組織化はされていませんでした。
そして2011.3.11の東日本大震災で津波被害によってPTSDを抱える人、長きにわたる避難生活で大きなストレスを感じる人が多くなり、身体医療的支援のみでは支援としてはまだまだだ、という認識が周知のものとなりました。
また、いわゆる健常者でさえそのような大きな心理的負担のかかる状況に置かれると抑うつ状態や無気力状態、パニックや妄想などの症状を呈すこともある中、元々精神科に通っていた精神疾患を有する患者さんにかかる負担は想像に難くないですよね。
そして東日本大震災において、精神科医療に備えた常備薬の少なさや入院先・通院先の確保に関しての準備の足らなさ、『精神科医療』そのものの位置づけの曖昧さが浮き彫りになりました。
精神科医療の位置づけの曖昧さについては↓の記事がわかりやすいです。
このような現状を受けて、2013年に厚生労働省がDPATの名称や定義を定めて、日本全国の都道府県にDPATの設置を呼びかけ、発足に繋がりました。
現在は各都道府県で研修・訓練などを行って活動準備を進めています。
しかし、まだまだ準備中なので、昨年2018年の9月に起こった北海道胆振東部地震において48時間以内に出動できたのは東北6県のうち2県のみで、遠く離れた関東圏まで出動の依頼をしなければならないほどでした。
最近大規模な震災が局所的に発生していることを考えると、一刻も早く出動準備体制が整うことが望まれますね。
DPATの役割
DPATも、DMATと同じく災害や事故発生から48時間以内に駆け付けて、現場の災害医療提供を行います。
この48時間以内に出動するチームを先遣隊DPATと言いますが、もちろんこの他にも、後続部隊が続きます。
急性期の医療を提供するDMATと異なり、精神的な支援を行うDPATは、活動が数週間、数か月間など長期にわたる事が多い為です。
主な活動内容としては、
- 被災地域の精神保健医療ニーズの把握
- 他の保健医療体制との連携
- 各種関係機関等とのマ ネージメント
- 専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援
- 被災者や被災地域支援者への支援
といったところでしょうか。
赤十字社や自治体、その他の団体によるこころのケアチームとの最大の違いは、『被災によって失われた精神科病院機能への支援および補完』です。
各こころのケアチームは、基本的に被災者やその地域の支援者の心理的なケアを目的して組織されていますが、DPATは『被災病院そのものの支援』を大きな目的のひとつとしています。
このように精神科病院機能への支援を主な活動に組み込むことにより、すべての精神科病院が、被災時の情報共有の対象となったというわけですね。
先に精神科病院の位置づけの曖昧さのところで挙げた、『3日間闇に孤立した宮城県石巻市の恵愛病院』のような病院を、二度と出さないようにシステム化されたということです。
DPATの活動3原則
DPATは災害活動において、以下の3原則(SSS:スリーエス)を提唱しています。
Self-sufficiency:自己完結型の活動
被災地域に負担を掛けず、自立した活動を行い、自らの健康管理(精神面も含む)や安全管理は自らで行うこと。
Share:積極的な情報共有
災害対策本部や担当者、被災地位の支援者、及び他の医療チームとの情報共有・連携を積極的に行うこと。
Support:名脇役であれ
支援活動の主体は被災者の支援者。地域の支援者を支え、その支援活動を円滑に行う為の活動をすること。
まとめ
DPATについてざっくりまとめてみました。
今後活躍が期待される組織ですね。
次回はもう少し具体的な活動について触れてみたいと思います。