DPAT研修を経てpart3 ~精神科の入院形態と災害時の対応~
こんばんは。
記事のスタートの挨拶をずっと「こんばんは。」で統一してきたんですけど、夜読みに来ていただくとは限らないんですよね…
ちょっと次回から変えてみます(笑)
さて今回も前回に引き続きDPAT研修関連の記事です。
とはいえ、精神科の入院形態についての記事なので災害関連とは少し違うかもしれません。
ただ、研修で言われた言葉で、『緊急時にしなければいけないことは平時の延長に過ぎない』というものがあり、ぼくの中で一番印象に残っています。
平時からきちんと勉強し、誠実な支援をすることが大事、ということですね。
ではいきます(^O^)
精神科の入院形態
精神科病院が他の一般病院と異なる点は、『法律に基づいた強制的な入院を受け入れる病院でもある』というところです。
『強制的』という言葉が目立ちますが、実際はほとんどの場合、本人の意思に基づく入院(任意入院)、あるいは家族の同意に基づく入院(医療保護入院)となっています。
ただ、強制的な入院形態がまったく採られないわけでは決してないので、きちんと押さえておきたいところです。
さて、入院形態ですが、ここでは4つに分けて説明しています。
1.任意入院
本人自身で現状や状態を正しく理解し、入院治療の必要性や的確な入院時期についての判断ができる状態での入院のことです。
『任意』による入院なので、医師が許可すれば自由に退院することができます。
2.任意保護入院
精神科では本人の同意が得られない場合が結構あります。
このように、本人が入院を拒み、本人から入院の同意が得られない場合、家族などの同意をもって入院させることができますが、これを医療保護入院と言います。
1名の精神保健指定医の診察と家族などの同意が条件になります。
精神保健指定医(以下、指定医)とは、精神医療やその周辺の法制度に精通し、かつ最低3年の精神科実務経験や研修、ケースレポートなどをパスした医師が取得できる、いわば精神科医療の専門家です。
精神科医療では患者に入院を強制したり、身体拘束を含む行動制限を行わざるをえない場面があるため、精神保健指定医は必要不可欠な存在です。
DPATにおいても先遣隊の医師は指定医であることが定められていますし、先遣隊でなくても望ましいとされています。
同意をする家族などの範囲は、配偶者、親権者、扶養義務者、後見人、保佐人を指しますが、これらに優先順位はありません。
該当する家族がいない場合等は、市区町村長が同意の判断を行います。
3.措置入院
入院させなければ自傷他害のおそれのある精神障害者を対象とした強制的な入院措置のことです。
警察官が、自傷他害のおそれがある人を発見したときは、精神保健福祉法第23条に則り、すみやかに保健所長を通じて都道府県知事に通報しなければなりません。
通報を受けた都道府県知事は、県の職員(たいていの場合は保健所職員)に調査を行わせ、診察の必要があると認めたときは、通常2名の精神保健指定医による診察(措置診察と言います)を行わなければなりません。
2名とも『精神疾患であり、そのために自傷他害のおそれが高く、入院治療が必要』と診断したときに、行政の権限で入院させることを措置入院と言います。
治療によって自傷他害のおそれが消失すれば、入院先の精神保健指定医が知事に通知します。
退院するには都道府県知事の措置解除決定が必要です。
自傷他害のおそれのある人の発見⇒保健所長⇒都道府県知事⇒県職員の調査⇒指定医2名による診察⇒措置入院⇒自傷他害のおそれの消失⇒指定医から知事に通知⇒措置解除
という流れですね。
複雑…
どうしても指定医2名が確保できなかった場合は指定医1名の診察で入院させることもできます(緊急措置入院)が、72時間以内に再度指定医2名の診察をし、措置入院に切り替える必要があります。
4.応急入院
自傷他害のおそれがあるほどの症状ではないが、緊急を要するようなケースで実行される入院形態で、上記の3つ(緊急措置入院を入れると4つ)の入院形態のどれも当てはめられない場合採用されます。
入院に同意しない身元不明の人とか保護者と連絡が取れない人などが対象です。
平時は全く誰とも連絡が取れない人や身元が分からない人というのはほとんどいないので、あまり馴染みのない入院形態です。
ただ、大規模災害時にはこれを採用しなければならない場面もあるとのことでした。
応急入院には精神保健指定医一人による診断が必要で、措置入院と違い知事の決定は不要です。
ただし、入院期間は72時間に制限されます。
つまり、72時間以内に本人の同意を得る、家族と連絡を取るなどの対応をする必要があります。
なお、入院を受け入れることができるのは、施設基準を満たして応急入院指定を受けている病院に限られます。
災害時の注意点
基本的には被災状況であっても平時と同じようにしなければいけません。
例えば、自傷他害のおそれのある人が避難所にいる際も、指定医は原則通り2名必要だし、保護入院をしようと思えば家族などの同意を得る必要があります。
ややこしいのは、移送についてです。
精神障害者の移送は、都道府県知事により行使できるものであるため、医療者のみの移送はできません。
なので基本的には医療者(DPAT)は、患者が自らの意志で病院に行くように説得を続ける必要があります。
実はこの点は、ある意味平時の延長なのです。
医療は結局のところサービス業です。
なので、患者が行きたくないと言ったら、どんなに医療者側が治療が必要な人だと判断していても、それ以上深入ることはできません。
なので、医療保護入院や通院をしてもらうための説得技術の向上が精神科医をはじめ、精神科領域で働くスタッフに求められます。
どうしても説得に応じない場合は、都道府県職員同行のもと、移送を行う必要があります。
措置入院においては、原則、都道府県職員が移送の対象者に同行しなければならないと定められています。
しかし、緊急的な状況下においては都道府県知事の責務により、他の適切な方法による移送を行って差支えがないとされているため、場合によっては医療者のみの移送となる可能性もあります。
なんにせよ、現場だけの判断ではなく、保健所、県職員、移送先の病院など、各所と連携を取っていく必要があるため、本部と情報を共有して、総合的な判断をしてもらう必要があります。
まとめ
3回にわたってDPAT研修から得られた知見をアウトプットしてみました。
DPATについて、入院形態について、なんとなくでも広報になっていたら嬉しいです◎
ぼくの復習にもなったし(笑)
心理士は法律的なところがすごく弱いんですけど(自分だけかも汗)、少しずつ勉強してきちんと自分の知識にしていきたいところです。