臨床心理士ってどんな資格?どんな仕事?
「臨床心理士ってそもそもなに?職業なの?何してるの?」
友人と話をしているとこんな質問を受けることがよくあります。
「教師ってなに?何してるの?」
「医者ってなに?何してるの?」
「消防士ってなに?何してるの?」
という質問はまずあまり聞かないですよね。
つまり、それほど世間的には認知度が低いということだと思います。
最近は「カウンセラーみたいな。ほら、スクールカウンセラーは知ってるでしょ」という雑な説明をするのにも抵抗がなくなってきている自分がいます…。
そもそも、カウンセリングやスクールカウンセラーという言葉は知っていても、それが何を表すのか、スクールカウンセラーが実際にどんなことをしているのかまで知っている人は少ないと思います。
カウンセリングについては、流派や個々人で定義がかなり変わってきそうなので、これ!という説明をするのは難しいですね…。
一応、Wikipediaさんでは
『 依頼者の抱える問題・悩みに対し、専門的な知識や技術を用いて用いて行われる相談業務のことである』
とされています。
カウンセリングの流派やスクールカウンセラーの業務内容や役割、使い方などはいずれきちんと触れたいところです。
結局なんなんだ?
話がそれましたが、そもそも臨床心理士とは何か、という問いに対しては『資格』と答えるのが正しいです。
職業ではありません。この資格を有することで心理判定員、心理相談員、スクールカウンセラー、産業カウンセラーなどの職業に就き『 やすく』なります。
企業や自治体によって臨床心理士資格を必須としていないところもあるので、『 やすく』とさせて頂きました。
心理関係の資格はとても多く、産業カウンセラー資格、学校心理士資格、臨床発達心理士資格、認定心理士、果ては通信でも取れるカウンセラー資格なんてのもあるそうです。
最近(2018年から)ではようやく公認心理師という、心理士の国家資格がスタートしたので、これから就業に関しても動きが出てくるかもしれないですね。
さて、また少しそれました。ワタシ、それがちです。
はい、臨床心理士資格に関してです。
まず、この資格は国家資格ではありません。
たまに間違えられますが^^;
国家資格は前述の公認心理師です。
諸外国にだいぶ遅れをとって、ようやくのスタートです。
臨床心理士資格は日本臨床心理士資格認定協会が発行する民間資格です。
年に1回資格試験があり、その試験を受けるには指定の大学院を修了している必要があります。
ついでに言っておくと5年に1回更新があるので、研修や学会に行ってポイントを貯めなければいけません…。
大学院修了が3月で、資格試験が9月なので、修了した年の4月~は無資格、あるいは資格取得見込みで働き口を探さなければいけません。
働き口が多くあるわけもなく、非常勤掛け持ちなどで食いつなぐ方も多いと思います。
ぼく自身も、大学院時代にいくつか掛け持ちしていた非常勤の仕事をそのまま続けるという形で食いつなぎました。
余談ですが、大学院時代は講義、実習、非常勤の仕事、研究などの予定が常にあり、何もない日も常に研究や実習のことを考えていなければならなかったので、かなり忙しかったです…
そして、そんな大学院を出なければ取れない資格の割に、就職状況はそんなにいいものではないので、そこらへんの事情もいずれお伝えできたらと思います。
仕事の内容は?
仕事内容は『どこで』『どんな職として』働くかでだいぶ異なってきます。
臨床心理士資格を持った人が働く領域は医療、福祉、教育、産業、司法など幅広いです。
なぜかと言うと、臨床心理士は『 人(の心)』と関わる専門家だからです。
極端なことを言うと、人のいるところには臨床心理士がいてもいいかもしれません。
医療分野の心理士なら治療の一助になるような、教育分野なら教育や成長の、産業なら就業やストレスに関する、など。
相談内容や最終的な目標地点は、本当に多種多様だと思います。
他の専門家との違いは、『その人のなりたいもの、向かいたいところに向かうための手伝いをする』ことだと思います。
医者なら病気や怪我を治すこと、パイロットなら客を目的地まで運ぶこと、理学療法士なら自立した日常生活が送れるように支援すること、のような明確なゴールがなく、人の数だけゴールがあると言えます。
言うまでもなく、大変です(笑)
常に、悩んだり迷ったりしながらどこに向かいたいのかを一緒に考えています。
その人なりのゴールに少し近づけたり、遠ざかったりしながらも一緒にそこに向かうまでの道のりは、誤解を恐れず言わせてもらえば(誤解を恐れず言うの、好きです笑)、楽しいです。
だから、この仕事を続けています。
最後に
以降の記事では、いちいち『臨床心理士資格を有する者』みたいな言い方はめんどくさいのでしません(笑)
仕事としての、幅広い意味での『臨床心理士』と思っていただけたら幸いです。
※注意
この記事は臨床心理士一般のことではなく、私個人の主観です。
何を目指して人と関わるか、など根本的なところで私とは異なる臨床心理士さんもいらっしゃると思うので、一般化はしないようお願いします。